落とし物
たまに道端に色々なモノが落ちてることがある。
例えば、はんかち。
例えば、財布。
例えば、ティッシュ。
誰かが落としたんだろうな、と思うモノや、なんでこんなとこに落ちてんだ、と思うモノまで種類は幅広い。
その日は一枚の大きめのタオルを拾った。
生来の性格か、落とし物があったら拾って、とりあえずわかるところに避けておくようにしている。
今までと同じように、傍にあった棒の上に置いた。
「めっちゃ汚れてんなこれ…」
洗濯しても取れないんじゃない?
見つけた時の持ち主の苦労が目に見えて、ちょっと可哀想になった。
気付いたのは、それから数メートル先での事だ。
じっと目の前に落ちているモノがある。
大きめのタオルだった。
また誰かタオルを落としたのか。
拾い上げ、横に避ける。
にしても今日はタオル日和だな、と苦笑いで歩く。
すると、また数メートル先に白いモノを発見した。
大きめのタオルだった。
「ほんとなんなんだ今日…」
またかよ、と無性に突っ込みたくなった。
拾い上げる。
なんか変だな、と思ってまじまじ見ると違和感の正体が掴めた。
「…これ、さっき拾ったタオルだ」
そういえば、さっき拾ったタオルも全部、寸分違わず模様が一緒だった。
つまり、今まで自分は全て同じタオルを拾い続けたことになる。
なんだか気味が悪くなって、今度はタオルを放置して帰った。
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