第34話


 その夜、僕達は少女の部屋で沢山の話をして過ごした。

 話は学校の事や夏休みの間に僕達が遊んだこと、それらを身振り手振りで話した。

 少女と共に時に笑い、驚きながら僕達は月が輝く夜の下で、それはとても楽しい時間を過ごした。

 それは少女の母親が就寝の為に僕達の部屋に現れ、ドアを閉めるまで続いた。

「また、明日ね」

 ヒナコはそう言うと僕達に手を振って“おやすみ”と言った。

 僕達は母親が案内してくれた二階の寝室で布団に入るとやがて静かに寝息をたてて眠りについた。不思議なことに、誰も今夜家に帰ろうとは考えていなかった。

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