第15話


 時折吹く風が小川の上を進み、それが僕達の頬に当たっては流れて行った。先頭を勝彦と勝幸兄弟が行き、その後を少し遅れて僕とツトムが並んで進む。

 僕は並んで自転車のペダルを漕ぐツトムの方を見て、前の二人に聞こえないように小さく言った。

「ツトム、お母さんとは最近会っているの?」

 僕の声にツトムが首を振る。

「会ってないっちゃ。この前の五月の連休のときに一度。それっきりちゃ」

 ツトムは真っ直ぐ進む方向を見ている。

「そう・・」

 僕は前を向き向き直った。

 また小さな風が吹いて、僕達の頬に当たる。

「寂しく・・、ない?ツトム?」

 僕は聞いた。

 ツトムの大きく息を吸う音が僕の方まで聞こえた。

「ナッちゃん、やっぱり寂しいちゃよ」

 ツトムが僕の方を見た。

 すこし寂しそうにした瞳が僕を見ている。

「ツトム、この前の日曜日。お母さんが僕ん家に遊びに来ていたよ」

 ツトムが前を見る。

「母ちゃん・・元気にしちょった?」

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