第7話

ここまで一気に書くとメールの着信音が鳴った。ゴッホの画集の上に置いていた携帯を手に取ると差出人を見た。それは頼子からだった。

『兄さん、どう?小説の方は進んでる?

 今日、兄さんが帰った後、検査の結果がでたけど、特に異常は無かった。

 だけどまだ様子を見ないといけないみたいだから、当分、入院しないといけないみたい。

 これが結構嫌なんだけどね(笑)

 だから父さん、母さんには大丈夫だからと言っておいてね

 じゃぁね 』

 僕は読み終えると、そっと携帯を画集の上に置こうとした。

 その時、再び携帯にメールの着信音が鳴った。

 慌てて僕は画面を見た。

 頼子だった。

(何だ?)

 そこには短くこう書かれていた。

『兄さん、結局その“向日葵の少女”には会えたの?』

 その一文を見て僕は苦笑とも言えぬ表情をした。

(まだ小説は書き始めたばかり、そんなに早く結末は書けないよ。まぁ楽しみにしといて)

 そう心の中で呟くと、僕は物語の続きを書く為に再びキーボードを叩き始めた。しかし、不意に手を止めた。

(明日は仕事だから、あんまり夜更かしできないな。今、何時頃だろう?)

 顔を上げて壁に掛かっている時計を見た。

その時、時計の秒針が音を立て動くのを僕は見た。

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