Evolution No.19

迫峰 茉芙歌

若き上寺の悩み

高級官僚を志し、キャリア組としてこの職に就いてからかれこれ20年になろうか。

この国の行く末を案じ、大事に心を砕きながら禁欲的に過ごし、この国に立ちはだかるいくつもの困難を克服しようと過ごしてきた人生を何ら恥じることはない。

ただ、やはり解決策は手ぬるいし抜本的ではない。それに、複雑に絡み合った課題を一挙に解決できるような要の一撃というか、ボーリングで言う一番ピンというか、一つの対策がドミノ倒しのように全てをパタパタとなぎ倒すような解決の一手、決め手となるような必殺技、というものを見出せずにいた。

上寺うえでら自身の意識としては、高級官僚である以上、どちらかというと公僕というよりは為政者の側にいるという気持ちが強い。


その数々の課題について毎夜毎夜、ワイン片手に思いめぐらす日々なのである。

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