第2話 不幸な結果

 『なんだよー。この子が隠れた化け物と聞いたから殺して食べようとしたのに、全然強くないじゃん』

 『これは持ち帰る必要もないな』

 『撤退するぞ』

 . . . .

 『あれ?反応ねーぞ。どっかいったのか?』

 『はぁーーーー。めんどいけど見にいくか』

 






 「ぉぃぉーぉきろー起きろ!!!」

 大きな声が聞こえ目を覚ます。てかめっちゃさむかった。冬なのにTシャツとズボンだけ。目を開けても目の前は真っ暗なままだった。失明したとかではなくなので目を隠されていた。それも手錠まで付いていた。俺なんかしたか?てかなんで俺がこんな状況に、、、

 悪魔と戦って、いのりが!!

 思い出したくないものを一気に思い出した。いのりもクラスメイトも先生も全員救えずに死んだ。思い出し吐き気が止まらなかった。

 やべ

 吐くわ

 「うえーーきたねーー」

 さっき起こしたやつがヤジを飛ばすが無視をする。吐くゲロと混じり胃液も出てきてべろが痺れるのがわかる。

 吐いても吐いても止まらない吐き気に俺は別のことを考えようとするがすぐに頭を撃ち抜かれたいのりを思い出す。

 「オェ、、、」

 早くここから出ないと。ここにいても何も進まない事だけはわかる。あの悪魔を絶対に殺してやる。骨や肉を粉々にしてあいつが死にたくなるまで痛めつけてやる。

 「お?やる気か?」

 コツ、コツ、コツ

 一歩ずつ近づいてくるのがわかった。目の前はどうなっているのかもわからない。目隠しを外したいが手錠をつけられてる。なら手錠を破壊するまで。

 腕に力を入れ思い切り引っ張る。

 「アドバイスなんだけど、逃げようとしてるならやめたほうがいいよー。ここにいる人たち全員君より強いから」

 うるせーなー。びびって見てるだけのお前なんかより強いに決まってる。

 「ああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 

 

       バキィーーン

 

 手錠を破壊した。そして目隠しを外す。目の前に広がっていたのは暗い狭い部屋に俺の前には鉄格子。これはどうからどう見ても牢屋にしか見えなかった。

 俺は何かしたか?

 悪魔と戦っただけだぞ!!

 「なんで俺が牢屋に!!!」

 「悪魔なんだからしょうがないじゃん?」

 は?

 こいつ今俺のこと悪魔って言ったか?目が悪いのか?

 俺はどう見ても人間だろ。

 やっぱりこんなところにいたら危ない。

 俺は鉄格子を触り力を入れようとした瞬間

 「出てこないほうがいいよ?僕が君を倒さなくちゃいけなくなるからね。汚いのは嫌いなんだ」

 そうかよ

 知らねーよ

 元々鉄格子を曲げて出ようともしてないし

 「あっそ。じゃあ後ろからいくわぁ!!」 

 言葉と同時に鉄格子と反対側の壁に思い切り蹴った。レンガで出来ていた壁は狼みたいに息をかけても壊れそうにない壁だったが、俺の蹴りは狼の息よりも遥かに威力があった。

 破壊した壁の方向に走っていく。どこが出口かわからないけど、まっすぐ進み続ければいつかは出れるはず。

 壁をどんどん破壊していき長い廊下に出た。

 そこを走り続けると人影が三つぐらい見えてきた。

 「止まれ!!さもないと殺すぞ!!」

 刀を持つスーツを着た若い男性がいた。

 無視して走り続ける俺。

 すると男は刀を握る。

 

 あれ?消えたぁ?

 

 一瞬で消えたと思ったら首に激痛が走り目の前が暗くなる。

 斬られたのか?

 いや違う。

 殴られたのかぁ、、、 

 


 「あははははははははは!!!!」

 「帰ってくるの早すぎでしょ!!!」

 目の前で牢屋の前にいる男が笑う。声的にさっき俺が閉じ込められたときにいたやつか。

 また目隠しと手錠をつけられた。

 「あと少しで話があるからそれまでまっとけって」

 話ってなんだ?

 俺被害者だぞ!!

 




 1時間ぐらい経ち暴れる気力もなくなり寝転がっていると足音が聞こえた。

 また人が来たのかよ。

 拷問されるのかな?

 嫌だよ?俺

 悪魔に殺されて知らん奴に殴られて次は拷問なら俺どんだけ人生損してるの?

 鍵を開ける音が聞こえた。

 入ってくるのか?

 足音が近くになり俺の前で止まった。

 そして目隠しを外された。

 目を開けて見てみようとするがすぐに明るいのにならずに目を細める。

 前には少し老けたおじさんが立っていた。

 「君が噂の慎吾くんか」

 噂になってるの俺?

 なんでだ?

 死んでイケメンになったか?

 「君はね。これから私たちの奴隷になりなさい。そして光導隊になりなさい」

 「は?光導隊って能力『不力』を持つものしか入れないだろ。 俺には不力はない。小さい頃にわかってる話だ。例え俺が不力を持ってたとしてもこんなことする奴らがいるところに行くわけねーだろハゲ。あと美女の奴隷ならいいよ」

 「君はなんで能力のことを不力って言われてるか知ってるかい?」 

 「話しきけよ」

 「不力ってのはね。決して不幸な力を持つものではなくて、不幸な人たちが持つ能力のことなんだ。能力を持つものは幼少期に悪魔に襲われてしまう。その理由は力をつけるため。強い奴を食うほど悪魔たちは強くなっていくんだよ。だが能力を持つものを食うとさらに力が上がるらしい。だからまだ強くない時を狙って襲い食うんだ。能力を持つものは何もしてないのに襲われてしまう。だから不幸な子供の持つ能力だから不力かな?知ってた?」 

 襲われているのは知っていた。よくニュースでやっている。赤ん坊がまた行方不明になったと。その子供達は年間に何千人といるらしい。

 「知りませんでした」

 「やっと言葉使いが良くなったね」

 「まだ怒ってますよ。殺されたら牢屋に入ってるなんて。前世でめちゃくちゃ犯罪したのかもしれませんね」 

 「そうかもね。それで君の能力を調べさせてもらったんだけど結局何にもなかった」

 そりゃそうだ。能力を持っているものは幼少期にわかるんだ。俺にはないとすぐわかった。ただ単に運動が出来るだけの話だった。

 「でもね君が悪魔を殺しているところを見たんだよ」

 「いや逆です。俺が殺されたんです」

 「違わないよ。悪魔を肉片も残らないように殺し、叫ぶ悪魔がそこには居たんだ」

 「悪魔を殺したのは、悪魔なんでしょ?俺は人間です」 

 「殺し終わってから君は人間に戻ったんだ」

 「何を言っているんだ?マジで。俺は悪魔じゃねーよ」

 「この目で見たんだよ。私が」

 俺は言葉を失った。

 それなら生き返ったことも納得はいく。

 でも俺は悪魔じゃない。

 それは自分がよくわかってる。

 この体も人間の体だ。

 「私が見たのは、、、

 

 

 

 学校に着いたのは悪魔が学校を破壊していた頃だった。


 

 

 

 

 


 

 




  

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