金の命
「あなたが落としたのは命ですか?それとも十億円ですか」
私はどうやら命を落としたようだ。つい先ほどトラックに
そして気付いたらこうして女神(自称)と対峙していた訳である。
「もう一度聞きます。貴方が落としたのは命ですか?それとも十億円ですか」
そしてこの質問のこたえようにより三途の川を越えてしまうか、それとも現世に復帰できるかが決まる。と、この女神(っぽい人)は言っている。
しかしいきなりそんな質問されても困る。要は自分の命に値段をつけるのだ。
ずっと貧乏な生活だったので十億円というと一生ノビルと決別し、毎日三食もやしを食べて行ける。いや、それでも有り余るほどだ。
しかし今も私の帰りを待っているであろう幼い兄弟たちがいるのだ。ここで本当に死んではこれから彼らを誰が養うというのだ。
・・・よし、答えは決まった。
「命、で」
「正直者の貴方には十億円をあげましょう。安心してください、天国でも使えますから♪」
いや、むしろ「穿いていなかった」とでも言ってくれた方が安心できたのだが。などと思考をショートさせていると視界が強い光で塗りつぶされていく。
かすかに見える女神(ステレオタイプは常に害悪である事をここに明記しておく)は「いい事した」と言いたげに満足そうな微笑みを浮かべていた。
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