てんやわんやで大団円2
「じゃあ、お願いしますね」
「任せといて」
私から革口さんの行動をメモしたノートを受け取ると、店長は手をひらひら振ってドアを閉めた。今日この時間の店長は、瀬川君が来るまでの繋ぎだ。予定では二時間もいなくていいことになっている。
どうせ見張り当番なんてなくたって店にもいないクセに、と私は頬を膨らましながら、さっさと家に帰ることにする。普段寝ている明け方に起きていたので、少し眠い。尾行の仕事は生活習慣が変わるから得意になれないなと思った。
今から一回家に帰ったら、夕方からまた瀬川君と交代だ。店長には店には帰らず、家で仮眠をとってもいいと言われている。
帰る前にコンビニで朝ごはん兼昼ごはんでも買っていこうかなと考えながらアパートの階段を降りる。すると、階段の途中でアパートの近くにある電柱の影に人が隠れていることに気がついた。あの人は確か……。
私はその人物の顔を確認して、眉をひそめる。あの人は確か、この仕事の依頼人の鈴木美佳さんだ。こんなところでいったい何をしているんだろう。
真っ先に思い付いたのが、私達が頼りないから自分も来てしまったということ。それならわざわざ依頼なんてすることないのに。
鈴木さんは今は俯いてケータイを見ている。でも、おそらく私には気づいてるはずだ。店長が来るところも見てるはずだし、なら私が出てくるところも見てるはずだ。
私は階段を降りきったところで立ち止まる。さて、どうしようか。
店長にメールをするという考えが思い浮かぶ。でも、わざわざ報告するほどのことではない気がする。ならどうするか。うー……ん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます