チート神からの誘いを断ったら猫になった件
誠二吾郎(まこじごろう)
第1話「エピローグ」
ふと気づけば周りは砂浜、太陽にキラキラと反射する海が静かに波打つ。田中の目の前には上は人間、下は魚と言った人魚のような存在が海周辺の岩場で居座っていた。
背丈まである赤髪の美少女、スタイルもよく、誰もが魅力する美貌の持ち主が声を出した。
「我が名はピカリエ。さあ我が軍門に降るといい。我が力、チートを使いあらゆる世界を征服するのだ」
「え、なんですか?突然?チート?」
田中は挙動不審になりながらも、その存在に後ずさる。ピカリエと名取る人魚は岩場から海に入り、田中に近づく。
「貴様はこれから異世界に旅立ってもらう。そこで我が軍の成長の糧になってもらおう」
ピカリエは美形の顔でニヤリと笑う。もう話は決まってるかのように話す。田中はすかさず首と手を横に振った。
「ちょっと待て!!俺は今から仕事に行かないと……」
田中が否定的な言葉を口にした時、ピカリエは涙目になっていた。
「ううう、ヒックヒック。我が話を……聞けない……ヒック、とでも……」
ピカリエの不意な涙目にドキッとした田中だったが、ピカリエは言葉を続ける。
「……だったら、このまま猫にして見知らぬ異世界でも飛ばしてやる。我が提案を断ったら事を後悔させてやる」
「は?今なんて……」
目線がいきなり低くなる。そして次第に空間が歪んでいくのが目に見えた。
「うわあああああああああああ」
叫んだと同時に田中は気を失った。
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