待ち合わせ
クオンクオン
待ち合わせ
待ち合わせには絶対に遅れたくない、そう思う。
どんな相手でも10分前には集合場所には着いていたい。
人との信頼関係を築く為に最低限のマナーだけは守らなければいけない、特に遅刻をしないこと、これは1番大事だ、「時は金なり」余計な待ち時間ほど無駄なものはない。
今日は絶対に遅刻したくなかったから集合時間の1時間前に着くように家を出た。
自慢にもならないが僕の中ではよくあることで、絶対に待たせたくない人相手の場合は1時間前集合を心掛けている。
丁度集合時間1時間前にファミレスに着いた、とりあえずドリンクバーを頼んで時間を潰そう、
言うまでもないだろうが僕は待つのは嫌いじゃない、余計な待ち時間は無駄だと言ったが集合時間までの時間はワクワクがより一層に増すから好きだ。家の中で無駄に時間を過ごすより「待っている時間」というのがいい。
これから1時間、「待っている時間」を楽しむことにしよう。
ドリンクバーに行きホットコーヒーを入れる、正直コーヒーはそこまで好きではない、これはカッコつけだ、年齢だけでいえば僕ももう大人だ、客観的に見てカッコいい「大人」でありたいのだ。
年齢だけでいえば20歳になれば大人になるがまだ僕は大人になった気はしていない、いつになれば大人になれるかもわからない、子供の頃はいつか大人になるんだろうなと適当に考えていたがいざなってみるとどこからが大人なのかもわからず、このまま大人になれずに死んでいってしまうんじゃないかとさえ思うのだ。子供の頃に見ていた大人は本当に大人だったのだろうか。
それでも少しは成長している自覚はあった。
いつからだろう、あの1番安いファーストフードのハンバーガーを不味いと思うようになったのは。
中学の頃は集合場所といえばあそこだったし、その度にハンバーガーを食べていた。
あの頃はみんなでくだらない話をすることが1番に楽しくて多分その中で食べるハンバーガーの味などなんの気にもならなかったんだろう、口の中に何か入れられればそれでよかったのだ。
確か最後に食べたのは独りで食べた時だった。
言うほどでもないが舌が肥えたのかもしれない、ある程度お金に余裕もできこのファミレスでくらいなら1番高い料理を頼んでもそこまでの出費にはならない。
読みかけの文庫本をバックから取り出して読む。
とても有意義な時間だ、読書をするのにファミレスは丁度いい、色々な人の会話や音が混じって一つがハッキリと耳に入ってくることが無いからだ、僕は静かな場所だと一つの音が妙に気になってしまう。
「早いなぁ」
懐かしい声が前から飛んできた、
集合時間30分前だ。
「待つ時間は嫌いじゃない」
待ち合わせ クオンクオン @kuonkuon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます