第6話
先生が帰り、日も沈み始めた頃…ふと花優のほうを見るとカーテンがしまっていた。
多分…寝ているのだろう。俺も過去の話をしていたら眠くなってきた。それに学校に行かなくて済むんだから少しくらい多く寝てもいいだろう。俺は目を瞑り眠りに入ることにした。
意外とすぐに眠ることができた。
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……私は生まれつき病気だった。更には生まれた瞬間から上手く呼吸をすることができずよく分からない機械に入れられていたり体の柔軟性がよくなくて布オムツを履いてなんとか体を柔らかくしようとしていたそうだ。
そのため学校や、家にはあまり行けたことがなかった。
それでも両親には大切に育ててもらった。
どんな環境にいても、どんなにお金がかかるとしても、大切にしてくれた。私はそれだけで充分幸せだった……今でも幸せだけどね。
けれど私はこの世界を…自分が生まれた街をよく見たことがない。
窓からはかすかに山が見えたりビルが見えたりするだけ。
病室には私1人だけで話相手も両親がほとんどだったけど、それでも毎日が楽しかった。
だってどんな時でも何が起こるか分からないでしょ?
だから私にとって一日一日、1秒1秒が大事なの。だって……ここまで生きてこれただけで『奇跡』なんだから。
ある日夕方頃、廊下の方が騒がしかった。私は耳を立てお医者さんや看護師さんの声を聞いていた。それは学校の屋上から落ちたという男の子についてだった。正直、高いところから飛び降りるなんて誰にもできないと思っていたけど、その男の子は違かったらしい。
夜中になりその男の子運ばれてきて私と同じ病室になるとお医者さんに言われた。
包帯がぐるぐる巻きにされていて可哀想だと思ったけど、本音はすっごく嬉しかった。
「これで話相手ができる!」私はそんな気持ちでいっぱいだった。
「先生、顔を見せてもらってもいいですか?」先生は「これから少しの間仲良くしてあげてね」と言ってカーテンを開け顔を見てせくれた。
目は瞑っていたが少し笑っているようにも見えたし悔しそうな顔にも見えた。
私は10秒ほど見てから先生には「ありがとう」と言ってカーテンを閉めた。その日は少しだけうるさかったけど、(毎日がこんなに賑やかだったらもっといいのに)そんなふうに思った。
お昼ごろ、男の子が起きた。最初は独り言を言っていて変な人だと思ったけど話すようになってからはこの人と話すことがとても楽しくなっていった。
まだ男の子……歩呂良くんが来てから数時間しか経ってないけどとても楽しい時間だった。
この時間がずっと続けばいいのに……そんなことを思ってしまうくらいだった。
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