君の初恋は、どんな味だった?

永遠莉華

すれ違い

「めんどくせいなぁ…」

そう言って、少し長い前髪を右手でかき上げ、視界を広くした男子高校生がいた。

その男子高校生の名は桐生隆二きりゅうりゅうじであった。彼が今いる場所は少し幅のある路地裏であった。そこは、薄暗く人が滅多に通らない道であった。そこの路地裏に行くためには、少し手前の車道と歩道がある通路を通り角で曲がらないといけないところであった。

何故、この俺がここにいるのかには、少し訳があった。俺は生まれつけ目つきが悪いのと髪が赤髪だ。その見た目のせいで、よくヤンキーや不良たちに絡まれていた。その度に喧嘩をした。そりゃあ、初めに戦っていた時にはぼこぼこにされていた。ぼこぼこにされると、骨折や打撲は日常茶飯事だった。だが、喧嘩をしているうちに俺は喧嘩の戦い方を身に着け、最近では一度も負けたことがなかった。

しかし、俺は疲れていた。だってそりゃ、毎日のように喧嘩をさせられているためだ。けど、喧嘩を始める前には断ってはいるけど、どうにも言うことを聞かづに、一方的に喧嘩を始めようとしてくるため、止む無く、俺は飛んでくる火の粉を払うように喧嘩をした。

それは、今日も同じことであった。今日は5月25日であった。時間は多分だが、16時40分にかかろうとしていると思う。ここで喧嘩を始める前に時間を最後に確認した時には、16時38分37秒であったからだ。

「はぁ…俺、忙しいんですけど?なので、そこどいてくれませんか?」

隆二は少し強い口調で、桜丘高校さくらがおかこうこうの制服を着た生徒何人かに言った。ちなみに、隆二が通う高校は梅ヶ丘高校うめがおかこうこう。そこの二学年に在籍している。だが、桜丘高校の生徒たちはどかずに無理やり奥に連れ込んだ。そこには、体格がたくましい男が一人偉そうにしていた。その男がこの桜丘高校のボス的な存在であった。それ以外にも数人いた。

「調子乗るなよ、雑魚が!」

「はぁ…。何が雑魚すっか?こんな大勢じゃないと俺のことを相手にできないなんて、そっちのほうが雑魚なんじゃないんですか?(笑)」

「黙れよ?!俺様を誰だと思っているんだ?俺様は番町の剛田だ。」

そう隆二が言うと、ボス的な存在である剛田が自身の手下たちに隆二を攻撃しろと命令した。隆二はその場に小さくはぁ…とため息を拳を構えた。手下たちは隆二をめがけて、右ストレート、左ストレート、右アッパー、左アッパー、右回し蹴り、左回し蹴りをしようとしたがその攻撃を簡単に交わした。交わして、手下同士で攻撃を与えさせてその場に気絶させた。

「クゥ…。なんて強さだ。」

「こんなにも弱いのに、俺のことを邪魔してくれたのか?ただじゃ置かないからなぁ。」

隆二はそう言って指を鳴らして剛田に殴りかかろうとした時に、剛田の右隣にいた佐藤がその攻撃を受け止めた。受け止められた時に、佐藤の方が力が強く手を動かすことができずに、剛田の左隣にいた海藤が隆二の腹めがけて、えぐり取るように右手におもいっきり力を込めて殴りこまれた。

「ぐぅはぁ…」

隆二はその場に倒れ込みたいと思うほどに強い攻撃であった。だが、隆二はその痛みをこらえて、その場にたっていた。隆二が立ち上がっている様子を見た海藤が化物がぁと声を漏らした。その痛みをこらえながら海藤に左ストレートを顔面に打ち込んだ。海藤はその場に倒れた。

「く、そ…」

「よくも海藤を!」

そう焦りと怒り任せに言って左足で強いけりを入れてこようとした佐藤の左足を隆二は掴み、右手を掴まれている状態から、無理にほどき佐藤を背負い投げで地面にたたきつけた。

「化物がぁ!」

剛田はそう言って、立ち上がり隆二に近づいた。隆二の前に来ると何故か笑っていた。何かを確信したように。それは、勝ちを確信した顔であった。

「今すぐに俺様にぼこぼこにされるなら、それだけで済ましてやる。」

「逆にこっちがしてやるよ!」

隆二が剛田に殴りかかろうとしたときに、剛田は少し待てと言わんばかりに両手を前に出した。それに気づいた、隆二は止まり何か変だと思い後ろに振り向いた。

すると、そこには隆二が通う学校制服を着た生徒が捕まっていた。その生徒は、女子生徒であった。その女子生徒はとても怯えた声を発して、隆二に向かって助けてと言った。そのとき隆二にとても怒りが沸いた。隆二はその女子生徒を助けるために進むと、女子生徒を掴んでいる剛田の手下がナイフを取り出し、女子生徒に向けた。

「…クズが。」

隆二は剛田の提案を受け入れる代わりに女子生徒を今すぐ逃がせと言った。だが、全く聞いてもらえず、動けずにぼこぼこにされて倒れ込んだ。

隆二が倒れ込んだのを確認すると剛田はその女子生徒に近づいて、顔を確認した。その子はとても可愛かった。そのため、剛田はその女子生徒を犯そうと手下に両手両足を掴ま無理に服を脱がした。すると女子生徒は助けてと声を上げようとしたが、口を塞がれて声を発することができなかった。

「ボス、僕にもやらせてくださいよ。」

そう手下たちが言うと、俺様が満足したら変わってやると言って剛田は服を脱ぎ始めた。その時、隆二は立ち上がった。そうして、剛田に殴りかかった。無残な期までに殴り続けた。その様子を見た剛田の手下たちは尻尾を巻いて逃げた。その女子生徒はその場で泣き続けていた。そりゃ、あんな無理やりに襲われそうになったら誰だって怖いと思うから当然だった。

「次こんな卑怯な手を使ったら、ただじゃ置かねぇから、覚悟しろ。あと二度と俺の前に 姿を現すなよ。次見せたら、こんなんじゃ済まねえからな?」

そう言って、隆二はその場からフラフラになりながら立ち上がった。後ろを振り向くともう女子生徒の姿はなかった。

「はぁ…。マジでめんどくせぇ。」

そう言って、その場を後にして隆二は自宅に戻った。そして今の時間は18時を回ろうとしていた。自宅に着くと母が夕飯の支度をしていた。

「あんた、こんなにも制服を汚して。まぁ、無事でよかったは。」

そう言って母は涙を袖で拭き、夕飯の支度に戻った。隆二は自身の部屋に戻り、荷物を置いて風呂に向かった。そして入浴をした。風呂は隆二にとって、とても安心して過ごせるうちの空間であった。ふと、あの女子生徒のことが頭によぎった。しかし、風呂を出て夕食を食べ寝る時には忘れていた。

そして朝になり支度をして、学校に登校した。

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