人形劇
のなめ
開幕
「これで最後か?」
北条匠はそう呟いた。匠はこの国を代表する製薬会社である野上製薬に研究員として勤めており、野上製薬の研究チームの一つ「NEO」の一員である。NEOは表向きは新薬の開発を行っていることになっているが、本来の目的は謎の怪物「ν」の研究及び討伐をすることであり、そのためにNEOは、野上製薬本社ではなくν対策本部という専用の建物を活動拠点としている。
「いや、まだいるよ。
泉ミユのその言葉に応えるかのように背後から長い爪を持ち皮膚が腐り落ちた人間のような怪物、νが現れた。その直後、「バン」と短く銃声が鳴り響き、νの頭部は破裂した。
「倒しきったと思って油断してちゃ駄目だよ、匠。」
「大介の言う通りだな。さて、今度こそ倒しきっただろうし、持ち帰れそうな部分を回収して撤収するぞ。」
「わかりました。帰るよ、ミユ。」
NEOは北条匠、相馬大介、佐野陽子そしてリーダーの後藤始の4人で構成されている。匠と大介そして始はνについての研究とνとの戦闘、リーダーである始はそれに加えてNEOのメンバーのまとめ役も担っている。そして陽子は戦闘時に一般人の避難誘導、そしてマコトの世話などを主に行っている。泉ミユは野上製薬がνとの戦闘のために人工的に生み出した少女である。見た目こそ十歳程度の少女だが、自分と同じ位の大きさの刀を軽々と振り回し、人間では追いつくことが不可能なほどの高速で動くことができる。また、νが近くにいることを感知することができる。
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