平凡な何気ない日常(仮)
山目舜
平川凛の平凡な何気ない日常
「…だよ……お兄ちゃん起きて!!朝だよ!」
「………ん」
妹の声がする。もちろん3次元の。
僕の名前は、平川凛(ひらかわ りん)。高校2年生だ。
「……ってなんで妹に向けて自己紹介なんてしてるんだ………」
寝ぼけてるのかもしれない。まあいいや、おやすみ………
「早く起きないと、学校に遅れるよ!!」
「はいはい、今起きるよ……」
「もう、しっかりして!!これじゃあどっちがお姉ちゃんだかわからないよ!」
こんなにしっかりした妹が姉になっても、それはそれでいい気がする。少しは見習おうかな。あー眠い。
このあと、寝ぼけ眼で妹と一緒に朝ごはんを食べ、制服に着替え、家を出た。ちなみに、今日の朝ごはんはジャムを塗った食パンとインスタントのスープでした。美味しかったです。
「あ、平川君、おはよ。元気?」
「あ、西本さん、おはよう」
学校に向かって歩いていると、自転車に乗っている同じクラスの西本さんに会った。まあ、クラスが同じっていうだけで仲良くはないけれど。
「平川君って歩くの速いよね。疲れないの?」
「まあ、いつも行きと帰りで歩いてるからね。体力も付くよ」
「確かにそうね。じゃあ、私は先に行くね。またあとで」
「はーい、じゃあね」
西本さんはそう言って、去っていった。僕はのんびり行くことにする。途中仲良く追いかけっこをしているクラスメイトを見かけたぐらいで、今日はそれ以外は特に変わらなかった。
「凛!おはよー今日もいい天気だね」
学校に着いて、上履きを履き替えていると、幼なじみに遭った。会ったではなく、「遭った」なのは、会うたびに僕の精神力を削ってくるからである。心の自然災害みたいな。
「……遥、おはよう。今日も元気だね」
「まあね、それが私の取り柄だから。というわけで、元気のおすそ分けでーす」
「ちょっと、やめてよ」
跳びついてくる。いつものことなので、驚かないけど。止めても無駄だし。無駄にテンションが高くて、僕が黙っていても変わらない。なので、引きはがして、適当にあしらいながら教室まで歩いていく。
つまらないので授業は省略。1回友達と先生の叫び声で起きましたが、それ以外は寝てました。
「凛ー一緒に食べようぜー」
昼休み。昼ごはんは購買でパンを買っていると、友達の怜児に声をかけられた。
「いいよ。じゃあ教室に行こうか」
「あ、いや、えっと、教室じゃなくて中庭行こうぜ。あー天気もいいし」
なぜか怜児にせかされながら中庭に移動した。
「そういえば朝仲良く追いかけっこをしていたよね。どうしたの?」
「え?………あー、えーと、特に何でもない。ただのランニングだ」
「そっか。偉いね!さすが怜児!」
「……」
「……どうしたの?」
黙ってしまった。何かまずいことを言ったのだろうか?
「……あ、いや、なんでもないよ?ほんとにランニングしてただけだからね」
何かあったのだろうか。自主的にじゃなくて走らされていたとか?まあ、僕には関係ないけど。その時、怜児が急に立ち上がった。
「っ!……凛、急用を思い出した!俺はもう行く!じゃあな!!」
「う、うん、じゃあね」
どうしたのだろう。走って行ってしまった。トイレでも行くのだろうか。
「よし、帰るか」
「凛、帰ろ!!」
放課後。今日は部活がないので、まっすぐ帰ることにする。後ろは決して見ない。何も聞こえない。
「一人で帰ろう。うん、一人でね」
「りーんー帰ろー」
前だけを向いて帰る。
「聞こえてないの?家も近いんだし、一緒に帰ろうよ!」
ひたすらに前を向いて歩く。
「って、歩くの速っ、ちょっと待ってよ」
別に何も聞こえてない。
「……はやいって……ちょっと……まって…」
幽霊でもいるのかな?怖いからもっと早く歩くことにしよう。
「もう、こうなったら、後で凛の家に行って復讐するんだから!」
うわーやっぱり幽霊かな。怖い怖い。
「じゃあ、妹に言いつけちゃうよ?」
「あれーこんなところで奇遇だね遥一緒に帰ろうか!」
言いつけるのだけはやめて下さい。うちの妹はなぜか全面的に遥の味方なのだ。妹に怒られる兄というのもなかなか心が折れるものなのだ。弱点をきちんと突いてくるところは、さすが遥である。精神力を削るプロである。まあ、こいつの明るさ別に嫌いじゃないけど。精神力の代わりに元気をもらえる感じである。
そういえば二人は将来姉妹になりたいとか言ってたけど、どういう意味だったのだろうか。僕にはさっぱりわからない。
「ずっと話しかけてたんだからね!聞こえてたでしょ!」
「まあ確かにね。ちょっと無視し続けたく………」
「悪かったって思ってるなら、お詫びに日………」
そのまま一緒に帰った。まあ、一人で帰るよりは楽しかったからいいけどね。
……と思ったら妹に言いつけやがった。全く楽しくない。
夜、今日の復習と明日の予習をした後、妹の宿題を手伝っている最中に怜児から電話がかかってきた。
「俺なんだけどさ、」
「詐欺なら間に合ってます」
「ちげーよ!俺だよ!島田怜児だよ!」
「うん、知ってる。で、何の用?」
「今度の土日に遊びに行かない?」
「いいね、土曜日なら空いてるよ」
「そうか、じゃあゲーセンいこうぜ!」
こんな感じで土曜日はゲーセンに行くことになった。
これが、僕の平凡な何気ない日常である。
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