この地の氷河期は終わらず

【氷河期:惑星上に氷河が存在する時期、また。】


先程、要らないと叫んだ解体技術だが、このスキル思ったよりぶっ壊れてるな……『解体技術』、解体の技術を高めるスキル。

?もしそうなら笑えねぇ……数分間思考したが、『解体技術』は獲得することにした。厄スキルみたいで怖いけど……


≪熟練度が一定に達しました。スキル『考察(レベル3)』が『考察(レベル4)』に上昇しました。≫


……めっちゃ上がるな。そんなことを考えながら俺は作業を再開した。俺はハウンドの毛皮を剥ぎ、肉をそぎ落とし、長方形に整えた。ハウンドの毛皮は分厚く、毛布の代わりとして使えそうだ。折角、毛布も手に入れたことだし、今日はこの辺で寝ることにした。この吹雪では昼夜の感覚など無いに等しいが、戦闘もあったし疲労はかなり溜まっているはずだ。そもそもこの寒さで寝たら死ぬかもと思ったが、鑑定で調べてみると『寒冷耐性』の効果で何とかなりそうだった。ただ、睡眠中にハウンドなどの魔物に奇襲されるリスクはある。俺は祈りながら、毛皮を被って横になった。


起きたらまず魔物の餌になっていなくてゲームオーバでは無くて良かったと思う。やはり極寒の地ということもあり、寝る前に解体したはずのハウンド肉はカチコチに凍っていた。食えないやんけ。まあ鑑定曰く、保存性は高いらしいので大丈夫だと信じたい。

そう言えば、昨日は獲得条件の関係で取得できなかった『火魔法』、今なら取れるだろうか?俺はスキルを取りたいと念じてみる。


≪要請を確認しました。スキルポイントを消費してスキル『火魔法』を獲得しますか?≫


もちろん取得する。俺は全力で頷いた。


≪スキル『火魔法(レベル1)』を獲得しました。残りスキルポイントは2000ポイントです。≫


まあまあ高いのかな?とは思う。レベルアップでスキルポイントも獲得したが、できる限りスキルポイントは残しておくべきだろう。万が一の時に備えておこう。てか現代人って魔法使えるのか?


「火魔法発動!!」


俺は少しドキドキしながら唱えた。だが、何も起きる気配は無い。吹雪の音が聞こえるだけだった。大人しく鑑定で魔法の使い方を調べることにした。


≪魔法発動方法:技の名を詠唱する。また魔法はレベルが上昇すると使用できる魔法も増える。≫

≪火魔法:レベル1は火球を使用できる。使30。≫


なるほどねぇ……こいつも壊れてらぁ……レベル1のスキルで炎熱無効とか、使い方によっては強すぎるだろ……ゲームなどでよくある魔法とはギャップが半端ないなと思う。単純にこの世界の魔法とはそういうものと納得するしか無いが。

俺は一旦考えるのを止めて、鑑定で調べた通りに魔法を使った。


「火球!!」


詠唱するとサッカーボールと同サイズの火の球体が掌に作られた。その火球を先程、洞窟の近くで集めた木の枝に放ってみた。すると……


シュゥ……ジュウゥゥゥゥゥゥ……ボウゥ……


と、音を立てて、何とか焚き火が完成した。この結果を見るに、火球の火力はまあまあ高いと予測される。恐らく凍っていたはずの木の枝を無理矢理、燃えさせるくらいのことはできるようだ。俺は焚き火でハウンド肉を焼くことにした。凍っている以上、焼けるまで長くなりそうだ。昨日から水しか口にしてない。水と言っても、洞窟内ににあった水溜まりだが……正直、いつ無くなってもおかしくない。肉が焼ける間に取れそうな魔法や生き残るのに使えそうなスキルを調べてみることにした。


『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。

『解読』文や言語を理解するスキル。

『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。


この辺りでいいだろう。解読の効果は、書かれた文章を理解したり、異言語を脳内で訳したりできるというもの。また発した言語を相手に理解させることができるというものだ。

敵意感知の効果は、自分を攻撃しようとする者の動きを察知するスキルだ。範囲の指定は無いが、自分に対して害意を持つ者を感知するという部分がポイントなのだろう。この吹雪の中、相手の奇襲を防ぐには最適なスキルだった。

最後に生活魔法についてだ。生活魔法は獲得条件が無いスキルであり、更にレベルが無い魔法でありながら様々な効果を発揮するので非常に便利である。例えば、1リットルほどの水を生成する"放水"や汚れた水の水質良くする"浄化"などがある。


≪要請を確認しました。スキルポイントを消費してスキル『生活魔法』『解読』『敵意感知』を獲得しますか?≫

≪スキル『生活魔法』を獲得しました。残りスキルポイントは1900ポイントです。

スキル『解読』を獲得しました。残りスキルポイントは1850ポイントです。

スキル『敵意感知』を獲得しました。残りスキルポイントは1700ポイントです。≫


一気にスキルポイントが減ってしまったが、悪くない出費だと思う。一先ず敵意感知を発動してみるが、今のところ俺を狙っている魔物はいないようだ。まだ肉が焼けるまで時間はあるし、軽く洞窟の外を探索してみるか。


≪熟練度が一定に達しました。スキル『寒冷耐性(レベル1)』が『寒冷耐性(レベル2)』に上昇しました。≫


洞窟の外に出ると、寒冷耐性のレベルが上がったと音声が脳内に響く。今までは吹雪で視界が遮られていたが、ここで生活魔法の"視界向上"を発動する。すると何となくだが、周囲が見えるようになった。暫く歩いていくと森林が見えてきた。森林の中には大規模の湖があることが分かったが、氷河湖だったため水を汲むことはできないだろう。

俺は更に森林の中を進んでいく。そこでもう一つの洞窟を発見した。


「……こっちの方が広そうだな。」


俺は洞窟に入った。だが俺はこの後、改めて魔物という生物の強大さ、そしてを知ることになる。


――――――――――――――――――――――――

現在のステータス

生命力:C

魔 力:C

体 力:C


攻撃力:D

防御力:D

魔力攻:E

魔力防:E

走 力:C


現在使用可能なスキル

『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。

『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。

『火魔法(レベル1)』火を操る魔法。←new

『寒冷耐性(レベル2)』寒さを和らげて、活動しやすくする。

『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。

『考察(レベル4)』物事を予想し、記憶力や思考力を高める。

『苦痛耐性(レベル2)』痛みを和らげて、活動しやすくする。

『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。←new

『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。←new

『解読』文や言語を理解するスキル。←new

『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。←new

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る