氷の牢獄 ガリア平原
雪花と獣
【モンスター:巨大な化け物、怪物を意味する。また恐怖を与える存在を意味する。】
一先ずこの寒さを抑えるスキルが無いか、鑑定で調べてみると……
『火魔法』火を操る魔法。獲得条件:魔力C以上
『寒冷耐性』寒さを我慢し、活動しやすくする。
この二種類のスキルが寒さを抑えるスキルのようだが、『火魔法』には獲得条件があるようだった。俺自身のステータスというものを見てみたが……うん。弱い。とても弱い。現代人がいきなり異世界に行くという現実を改めて思い知らされた。とにかく今は、獲得条件が無い『寒冷耐性』を取得することにした。
≪要請を確認しました。スキルポイントを消費してスキル『寒冷耐性』を獲得しますか?≫
俺は震えながらうなづいた。もう限界が近いらしい、身体からガチガチと震える音が響く。声すらも出ない。寒い、痛い、冷たい、苦しい……ネガティブな感情に支配される。
≪スキル『寒冷耐性(レベル1)』を獲得しました。残りスキルポイントは2120ポイントです。≫
「はぁっ……はぁっ……」
耐性も獲得し、何とか寒さに耐え切った俺は洞窟の壁にもたれ掛かる。そのまま荒い呼吸を整える様に深呼吸をする。それにしても思ったよりスキルポイントの消費が少ないな。規則性が全く分からないが。
≪熟練度が一定に達しました。スキル『簡易演算(レベル1)』を獲得しました。≫
≪熟練度が一定に達しました。スキル『考察(レベル1)』を獲得しました。≫
おおっ……スキルポイントを消費しなくても、スキルを獲得できるようだ。ん?ということは、吹雪に当たっていれば寒冷耐性くらいだったら獲得できたのでは?と思ったが、冷静に考えて死ぬな。そもそも洞窟にいるのに死ぬところだったのを忘れていた。
≪熟練度が一定に達しました。スキル『考察(レベル1)』が『考察(レベル2)』に上昇しました。≫
ふむ。それにしてもスキルにはレベルというものがあるのか……と恐らくレベルが高いほど効果が強力になるんだろうな。それから数分後、少しずつだが、寒さに対して耐性がついてきた気がする。身体を起こし、立ち上がると関節からパキパキッと音が鳴った。洞窟から顔を出すが、やはり吹雪で先は見えない。外の地面は雪が積もってはいるが、一定下までは積もっていないようだ。軽く外に出ると、吹雪に飛ばされることは無かったが、鬱陶しいことにかわりはない。それに雪である以上、体温は奪われていく一方だ。
「どうしたものか……」
と、呟いた瞬間……
ギャァァァァァァァァ
突然、獣の咆哮が雪原、そして洞窟内に響き渡った。その咆哮を放った正体は吹雪の中から姿を現した。
「(え?なにあれ?おおかみ?)」
現実逃避しながら獣の正体に対して鑑定を発動する。
≪ハウンド:犬型の魔物、肉は保存性に優れている。また毛皮は厚く耐寒性に優れているため、高価で売られている。≫
攻撃手段は無いに等しいが戦うしか無いようだ……ハウンドは一体しかいないようだが、この吹雪の中、恐ろしい速度で俺との距離を詰めていった。積もった雪に足を取られることも無く、気が付けば目の前に死が迫って来ていた。俺はハウンドの顔を蹴り上げるが、ハウンドは怯まずに俺の脚に噛み付いた。
「ガグッ!!」
「痛ってぇぇぇ!!」
噛まれた部分から血液が飛び出し、数秒後には雪の上で凍り付いた。ハウンドの嚙む力はどんどん強くなっていく……これもスキルの影響だろうか……
≪熟練度が一定に達しました。スキル『苦痛耐性(レベル1)』を獲得しました。≫
≪熟練度が一定に達しました。スキル『考察(レベル2)』が『考察(レベル3)』に上昇しました。≫
戦闘中も音声が……脳内に流れて気が散る……
「いい加減離れろぉぉぉ!!」
ハウンドに洞窟にあった石を叩き付けた、一回だけではハウンドは離れず、何回も何回も叩き付ける。それだけではなく、付近の岩や木々にも叩き付ける。ハウンドの白い毛が血で染まり、赤くなる頃にはハウンドは絶命していた。
だがハウンドに噛まれ続けた俺の右足は骨が見えるほど傷が深く、もはや痛みの感覚は無い……また初めての命のやり取りで興奮し、アドレナリンが分泌されたということもあるのかもしれない。
というか魔物と言っても、こいつはどう考えてもイヌ科だろう……狂犬病ウイルスの様なウイルスを持っているかもしれない……やばい……目眩がする……意識が……
≪熟練度が一定に達しました。スキル『苦痛耐性(レベル1)』が『苦痛耐性(レベル2)』に上昇しました。≫
≪熟練度が一定に達しました。個体名"トモヤ・ハガヤ"がレベル2になりました。≫
≪身体の損傷を再生します。≫
≪基礎戦闘力上昇しました。魔力がDからCになりました≫
≪スキルポイントを入手しました。≫
気絶しかけていた俺の脳は、脳内に響く音声で覚醒した……レ、レベルアップ?スキルにもレベルがあるということは、自分にも存在するのではと予測していたが、どうやらその予想は当たっていたようだ。ステータスの魔力の項目がCに上昇した。また噛み傷も完全に再生したようだし、レベルアップにはとんでもない効果があるらしい。
さてと。ハウンドを解体してみるか。やり方分からんけど……
≪要請を確認しました。スキルポイントを消費してスキル『解体技術』を獲得しますか?≫
「
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現在のステータス
生命力:C
魔 力:D→C
体 力:C
攻撃力:D
防御力:D
魔力攻:E
魔力防:E
走 力:C
現在使用可能なスキル
『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。
『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。
『寒冷耐性』寒さを和らげて、活動しやすくする。←new
『簡易演算』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。←new
『考察』物事を予想し、記憶力や思考力を高める。←new
『苦痛耐性』痛みを和らげて、活動しやすくする。←new
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