Kuro
まる
日々の始まり
みんなは俺を見ると、嫌そうな顔をして石を投げたり、水を掛けてくる。どうしてなのかは分からないけど。
痛くて、冷たくて。そんな事をいつもやられているうちに俺はそいつらを含め、街ですれ違う人達も、俺を見て微笑む人も、全部怖くなったんだ。
今日は暑いから木陰で休む事にしよう。喉も乾いたけど、ここら辺には水がない。だから我慢しよう。
お腹も空いたなぁ。よし、寝よう。少しなら大丈夫なはずだ…。
俺は目を閉じた。
足音で飛び起きる。そこには男が居た。何かを持っている。
「やぁ、君の事描いても良い?」
俺は触ろうとしてきた手を噛む。
「いっっ、」
普通なら逃げていくはずなのに、男は笑顔で。
ずっと俺に手を噛ませたままだった。
俺は、意味がないと思い、口を離す。
「あははっ、痛かったなぁ。」
そう言いながら、何かを手に貼っている。
「よし、君の事、書いてもいい?」
俺は睨むだけにした。
「描いてもいいって事?ありがとうね!!」
そんな俺をよそに、男はルンルンで、俺を描き始めた。
時々、腕につけている物を見ながら。
時々、ピピッと音がなれば男は手を止め、何かを飲んでいた。
「ん?気になるの?大丈夫だよ。これ飲まなきゃいけなくて。」
俺は見ているだけだった。何を言っているか分からないからだ。
結構な時間が過ぎ、
「よしっ!出来たよ!君!!」
その声でビクッと起きる。
笑顔で見せられた物には、俺が描かれていた。
よく、ガラスに映ったりするから、俺はこういう顔なのだ。と認識していた。
もしかしてこいつは動くのだろうか。と少し身構えたが、
「あははっ、動かないよ〜!絵だもんこれ!」
男は笑っていた。
「ねぇ、君。毎日ここに来てもいい??」
こうして、俺と男の日々が始まったんだ。
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