偶然

休みの日、私は本屋に行くことにした。

会えるかなぁ〜、なんてちょっと期待しながら。


「会えるわけないかぁ……。」

買った本が入った袋を持って、歩いていると見覚えのある人が居た。

「あっ!」

そう、いつもカフェに来てくれる彼だった。

大学がある方から歩いてきているから、大学生?

だとしたら、歳が近いかもしれない。

ふと、彼がこっちを見る。やばい、気付かれたかな…?

「あ、もしかして…。」

こっちに来て、彼はニコッと笑う。

「あ、ええと、えっと…!!」

「いつものカフェの店員さん、ですか??」

「あぁ、はいっ、そうですっ!」

ダメだ、いつもの時みたいに落ち着けないよ!

だってだって、彼が目の前に…。

無理無理!どうしよう…変な人って思われてないかな…?

「あの、この後時間ありますか?本も読める素敵な場所があって…。」

と、私が手に持っている袋をチラッとみて言った。

「わぁっ、行きたいです!!」


彼と歩く道はなんだかいつもより特別な気がした。

いい匂いがする。香水つけてるのかな…?

「…大丈夫ですか?」

彼が心配そうに私を見ていた。ちょっと首傾げてるのめちゃくちゃ可愛いんですけど…?!

「あっ、えっと大丈夫です!!」

「良かった!着きましたよって言っても無言だったので心配で…。」

「あああ、ごめんなさい!無視してた訳じゃないんです!」

いい匂いだな〜。って考えててぼーっとしてたなんて言ったら彼は引くだろうから。言わない。

まだ心配そうに見てくる彼。

「大丈夫ですよ!ほら!行きましょ!」

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