第14話 栞の決意


「にゃははははははっ。本当に栞はフェイそっくりね」


「えっと……?」


「さっきも言ったでしょう。司書は一世代に一人しか選ばれない。つまり、フェイ

も選ばれる前は一般人だったのよ。今のあなたのように何も知らず私が此処に招いたの。その時も、『司書になるより、公表した方が良い』って言ってたのよ。ちなみにあなた、最初に名前を尋ねたでしょう? あれも、フェイと同じだったわ」


「そうなのですね。それで、公表されたんですか」


「……信用していた知り合いの有識者の方にお伝えはしましたが、渡したメディア全てのデータが消えていました。その時の話は筆舌に尽くしがたいものがあるので、詳しいことはお伝えしませんが、あなたにもおすすめはしませんね」


 真剣な顔で語り掛けてくるフェイさんの眼差しにたじろいてしまう。


 しかし、それとは裏腹に心の底で反発する自分自身にも気が付いた。父の遺志を引き継いで必ずこの遺跡の秘密を暴くと心に決めたのに。折角ここまで来たのだ。


 ここで自分だけがこんなにも素晴らしい真実を私だけが知ったまま、という甘美な響きに優越感を抱く自分と、いや父の願い通りに全ての真相を明かし、世に公開すべきだと叫ぶ潔癖的な道徳心を掲げる自身とがせめぎ合っている。


まだまだこの図書館について知らねばいけないことは沢山あるだろうけれど、いま決断を迫られていることだけはわかっている。


しかし、私の心は決まっていたのだろう。答えを出すのにさほど時間はかからなかった。私の様子を窺っていたフェイさんは私が言葉を発することを察してか、手をかざしてそれを遮った。

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