(三)―8

 福山が拳銃を取り出そうとすると、男が拳銃を発砲した。弾丸はまっすぐ福山の胸に当たるかと思いきや、発砲の音とともに体が横にはね飛ばされた。後ろか来た同僚がとっさに福山のことを突き飛ばしたのだ。弾は同僚の腕に当たった。同僚は声を上げて倒れた。

 福山は路地脇の壁に体を打ち付けられた。犯人の方を見ると、ガタイのいい男は銃口をこちらに向けながら後ずさりするように路地を抜けて道路へ出るところであった。

 路地の途中には撃たれた所轄の刑事二人が倒れ込んでいた。

 直後にビルの側面を通って表にいた三組のうちの二組が駆けつけた。福山は「頼む」と同僚のことを預けて、単身で犯人を追った。

 三人組は道路を横切り、向かいのビルの同じような細い通路を抜けて走って行くのが見えた。福山もその後を走って追った。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る