(二)―12

 道上はグラスのウイスキーをあおって言った。

「だから今日、あいつを呼んだ。小僧がバカでなければこんなことをする必要もなかったんだがな」

 横尾がそう言い終えないところで、厨房の方から白いズボンと白いジャケット姿の近田が現れた。アロハシャツの戸手と、地味な無地のワイシャツとジャケットを着た高木も一緒だった。

 勢いよく店内に入ってきた近田は狭い店内の一周見回し、奥の席を確認すると、まっすぐ横尾たちのところへやってきた。

 近田は靴のままテーブルに音を立てて足を乗せると「組のお偉いさんが揃いも揃って、俺になんか用ですかい」と凄んだ。

 近くにいたボディーガード役が「失礼だろ」と近田をテーブルから遠ざけようとした。近田は抵抗したが、同時に横尾が「まあまあ」と手を挙げてボディーガード役を静止した。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る