Last Message

宵闇(ヨイヤミ)

第1話

私は、クラスの人達に伝えたいことがある。


何個あるかと言われると分からない。

だからあえて何個あるかとかを明言せず、ただ言いたいことを書き連ねようと思う。





まず、うちのクラスは馬鹿だと思う。


勉強などの成績の事ではなく、やっている事が馬鹿だと思うのである。



例えば、異装だ。


それらはクラスのとある人物が、全て一人で持ってきている物なのだ。


どこかの芸人が使っている、馬の被り物を、皆さんはご存知だろうか?


あれがクラスにある。


それ以外にも……


・サンタの帽子

・恐竜

・大きなサングラス

・獣耳カチューシャ ……etc


こんなものがクラスにあるなど、普通では考えられないだろう。

しかし、これがうちのクラスの現実なのだ。


これを授業中や放課などに使用する者が出た為に、使用禁止を言い渡されたのも、ついこの前の話だ。



それに、異装物以外にも変わった物がある。


教科担任の先生の顔がプリントされた用紙が貼り付けられているダンボールだ。

しかもそれにはハンガーが何故か装備されており、ハンガーとして使うことも出来る。


これを作ったのは勿論、クラスの人である。


それはいつも、黒板の上、放送のスピーカーの自分たちから見て左側にある。

先生に見下ろされている気分だ。


だが時々、それは教室の入口の窓にある。


先生が廊下を眺めている。


通りがかる先生や生徒たちは異物でも見るような目でそれを見ている。


その先生本人はいつもそれを見て笑っている。


自分を自分が見ているんだ。


それは笑うだろうな。




それに授業の受け方だ。


クラスの8割程が夢の中だ。


残りのうちの1割5分はスマホか他事をやっている人で、最後の5分は起きて授業を受けている人だ。


だから起きているだけでも真面目ちゃんになれる。


まぁ私は勿論寝ている。


気付いたら夢の中さ。


起きていても気付けば寝ている。


仕方ないだろう?


それにみんなが寝ているので、先生たちもわざわざ起こすことはしない。


起こして回っていたら、キリがない。





とまぁ、色々話したらキリがないような、そんなクラスなんだよ。とても馬鹿だと思っただろう?



だが私が言いたいのは、馬鹿だ、なんてことではないのである。私が本当に言いたいのは……





馬鹿で、どうしようもないような奴らの集まりで、愛想を尽かす以前に呆れてしまうような、そんなクラス。


だが、仲間思いで、グループを作る時に私が困っていたら助けてくれる。声をかけてくれる。気を使わせているのかもしれないが、よく話しかけてくれる。普通に話をしてくれる。


クラスに友達が居ない私は、クラスがあまり好きではなかった。でも変わった。


すごく阿呆らしいのに、優しくて、仲が良くて、楽しくて、みんな最高だ。






私はそんな、馬鹿で優しいクラスが大好きだ。



普段そんなことは言えない。


担任にも流石に言えない。


だって恥ずかしいじゃないか。


だからここで言った。





馬鹿で阿呆な、優しくて楽しいクラス。


私の好きなクラス。




これはクラスに対する私が言いたいことであり、また、最初で最後のメッセージだ。




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For . My favorite class


This is my last message .


I love this class .


About everyone in the class .


From . One person in the class




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