第384話 旅気分

「おっきなお風呂なのよ!」

シモは温泉を見て興奮していたのだった!


時は少し遡る。

「ねぇ、リョウくん、シモちゃんに日本の良さをわかってもらうなら何処に行ったら良いと思う?」

アズサは自分に懐いているシモを気に入り妹のように可愛がっていた。


「日本の良さか・・・温泉とかどうかな?」

「そうよ、それよ!日本といえば温泉だよね、じゃあ何処にしようかな?」

アズサは旅行雑誌を広げて、温泉地を調べ始めた。

そして来たのが別府温泉だった。

来たメンバーは俺とアズサ、シモちゃんとリナの4人だった。


「シモ落ち着いて、ここは入れるお風呂じゃないのよ。」

「うにゅ?お風呂なのに入らないのよ?」

「ここは観光地なの、ほら、こんなに沢山の人がいるのに入れるの?」

「うにゅ?入れるのよ?」

「ダメだからね、年頃のレディは裸を見せてはいけないの。」

「そうなのよ!でも、シモ、おとうさんとおかあさんとお風呂に入るのが好きなのよ・・・」

シモは少ししゅんとなる。

「おとうさんとおかあさんとお兄ちゃんとならいいの。」

シモがしゅんとなった為にリナは慌てて訂正する。

「待ってリナちゃん、お兄ちゃんとお風呂も年頃のレディならしないかな?」

「・・・アズサお姉ちゃん、見逃して。」

「あとでお話だね。」

リナはアズサの迫力に負けている中、


「おとうさんって、ヨシノブの事だったよな?

あいつ、シモちゃんとお風呂に入ってるのか?」

「入ってるのよ。おとうさんに髪を洗ってもらうのが好きなのよ。」

「シモ、シャンプーハットが無くても大丈夫?」

「だ、たいじょ・・・ばない。シャンプーハットは人類の叡智の結晶なのよ。」

「そこまでじゃないと思う。」

「リナはイジワルなのよ・・・」

なんだかんだ言いながらもリナもシモを気に入り、からかっていた。


「それより、次に行こうか、ここは地獄巡りっていう観光地で他にも色々温泉があるんだ、珍しい物もあるから見てみよう。」

「リョウ兄について行くのよ。リナも行くのよ。」

「そうだね、お兄ちゃんについて行く。」

4人で仲良く観光地を巡るのであった。


「リョウ兄、何かやっているのよ?」

シモが人だかりを見つけて飛び跳ねて見ようとしている。

「見えないのよ、リョウ兄肩車してほしいのよ。」

「肩車?まあいいか、どれどれ?」

俺はシモを肩車しつつ、様子をみる。


するとどうやらテレビカメラが来て、番組の撮影をしているようだった。


「高いのよ、よく見えるのよ♪キレイなお姉さんがいるのよ!」

シモは怖じることなく案内人をつとめる女優に手を振っている。

今どき珍しいタイプなので周囲の注目が集まる。

そして、それは肩車をしている俺の方にも・・・


女優がシモ、いや、俺の方にやって来る。

「リョウ何してるのかな?」


そう、以前にお願いした旅番組の撮影に来ていたヒトミだった。

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