第375話 異世界への入口候補

「ヒロキ、死後の世界や異世界に行った神話とか知らない?」

「リョウやっと考古学に目覚めたのか!」


「違うよ、ただヨシノブの奴が子供を助ける為に調べろってさ。」

「あーそういえば、異世界がどうとかって話があったな。ゴシップじゃなかったのか?」

「違うみたいだな、あいつはそんな噓つくタイプじゃないし。」

「それもそうか、しかし、死後の世界か・・・色々あるぞ。

大概の神話には付き物だからな。」

「天照大神がどうとか言っていたからその辺りから調べようと思うけど、何かない?」


「この前通信が繋がったのが須佐之男だったら、もしかして天照大神も同じ所にいるのでは?」

「ふむ、ありえるのかな?」

「可能性はあるだろ?」

「あるかもね、じゃあそれにまつわる話は?」

「須佐之男なら根の国の話だから・・・島根にある黄泉平坂はどうだろう?調査では何も無かったが、お前なら何か見つけれるのでは?」

「行ってみるか・・・でも、ちょっとすぐには行けないな、この前の通信で気が減ってるからもう少し補充しておきたい。」


「その気というのがよくわからないけど、お前が言うのだから何かあるんだろうな、早く回復させて調査に向かうぞ!」

「こればかりは日にちがいるよ、流石に地脈をイジるのは負荷がかかったからね。

だいぶ消耗しているんだ。」

俺は針を使用しつつ、減った気の回復に務めるのだった。


そんなおり、ポーションという異世界の薬が出回りだす。

売り出しているのはタケフミという少年で、異世界から帰ってきたとの事だった。


「へーキズがふさがるねぇ〜流石は異世界だ。」

俺は報道を見つつ、流していた。

「リョウは気にならないの?

よくケガしてるし、あったら良くない?」

横にいたアズサは疑問に思ったのか聞いてきた。


「うーん、あれば便利かもしれないけど、特にはいらないかな。

それにこのタケフミって奴の目が気に入らない、だいぶ歪んでやがる。

こんな奴はろくな事をしない。」


「そうなんだ、雑誌ではかなり美談になってるけど。」

アズサは週刊誌を見せてくる。

内容は妹を守り、友を助け、他の日本人を救出するという美談が書かれていた。

しかし、テレビで見るこの男の目は濁りきっており、こんな奴がマトモな事をして来たとは到底思えなかった。


「自称だろ?それにこいつの言ってる向こうの保護者ってヨシノブの筈だが、こんな奴を信用するとは思えないんだよなぁ〜」


「リョウはそのヨシノブって人を信じているんだ。」

「まあね、親友だし。

優しい性格ではあったから、こんな奴でも見捨てれなかったんだろう。」

「ねえ、それならリョウが言えばポーションくれるんじゃない?」

「たぶんくれるだろ。いる時は電話するさ。」

「もう、前もって用意しとこうよ。」

「ケガをする予定が無いから大丈夫!」

俺は電話する事なく、黄泉平坂についての資料を読むのであった。

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