第374話 異世界からの電話
以前に原因不明で死んだ友人から電話がかかってくる。
その男は前田ヨシノブ、情報によると異世界にいっているとの事だったが・・・
「リョウ!爺さんを引き取れ!」
いきなり意味不明な事を言ってきたがこの声は間違いなく親友のヨシノブだった。
「いきなりなんだよ。爺さん?最近見ないと思ったらヨシノブのところにいるの?」
「来てるよ、こっちで俺は修行させられてるよ。」
どうやら爺ちゃんはヨーロッパの帰路の途中で異世界に行ったみたいだった。
道理で見ないはずだ。
「うわぁ〜ご愁傷様です。ってお前異世界にいるんじゃなかったのか?」
「あれ?俺言ったっけ?」
「いや、別口で聞いた。あっ、生きてるなら香典返せよ。」
「やかましい、返してやるから爺さんを引き取りに来い。」
「香典は諦めるよ、爺さんをよろしく。」
「諦めるな!それより爺さんを捨てるんじゃない!」
「だって、爺さんがいないとこっちは平和なんだよ。」
「代わりに俺が被害にあっているんだけど・・・」
「・・・頑張れ。」
「頑張れじゃない!なんとかしろよ。
俺はお前と違って一般人なんだよ。」
「俺だって一般人だ。」
「剣士として育てられてたじゃないか、爺さんの後を継いでやれよ。」
「やだよ、なんで修羅の道を行かないといけないんだ、俺は平和に一般人として暮らすんだ。」
「何が一般人だ、金持ちのヒモになってるのだろ?」
「なっ!誰がヒモだ!」
「リョウ。」
「くぅ~そんな事を言うやつは爺さんにやられたらいいんだ。」
「さっさと引き取れよ。」
「やだね、そもそも手段はないし。」
「そっちで調べれない?」
「帰還方法か?」
「そう、他にも日本人がいるんだけど帰す術が不明なんだ。」
「だけどなぁ、異世界から帰る方法だろ?
難しくないか?」
「天照大神が二人なら帰還させれるって言ってたから、神話とか、その辺りに何かないか調べて貰えないか?」
「わかった、調べてみるよ、お前には借りがあったしな。」
ヨシノブには学生の頃世話になったから、頼みを断るつもりは無いが、難題だと思った。
「助かる。」
「見つからなくても恨むなよ。」
「爺さんがこちらに残る事になったら恨むぞ〜」
「爺さんは後回しでいい、それより子供達の事が先だ。」
「正論には違いないが、本心は?」
「帰って来なくてもいいかなぁ・・・、ヨシノブが世話をしてくれ。」
「やだよ!孫のお前が面倒みろ!」
「帰ってきたら俺が修行させられるだろ!」
「今俺がさせられてるよ。」
「なら、苦しみもわかるだろ?友の為に犠牲になってくれ。」
「い・や・だ!」
「そこをなんとか!」
「無理だな、絶対に返してやる。」
俺とヨシノブは冗談も交えつつ、帰国の手段の捜索を頼まれるのだった。
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