第363話 パーティー1

「パーティー?」

「そうよ、リョウも参加してみない?」

アズサがふと言ってくる。


「いや、場違いじゃないかな?」

「そんなこと無いわよ、リョウなら顔を出しておくべきよ。」

「まあ、アズサが言うなら行ってみるか。」

俺はアズサに誘われ、パーティーに出ることにした。


会場に着き、その豪華さに足が止まる。

「・・・ねえ、アズちゃん。やっぱり止めない?」

「此処まで来て何を言ってるの?さあ中に入るわよ。」

俺はアズサに引き摺られるように中に入っていく。


「アズちゃん、今日のパーティーって何かあるの?」

「うん?経済界の人達の顔合わせよ。」

「それって偉い人が多いって事?」

「そうとも言うわね。」

「・・・実家に帰らせてもらいます!」

「リョウ何を言ってるの?」

「だって、絶対失礼な事をするよ。」

「大丈夫よ、源の婿がどれだけ失礼をしても大丈夫だから。」

アズサは組んだ腕を離さない。

俺は逃げることも出来ず中に入ってしまう。

中に入ると既に多数の人が集まり談笑をしている。


「こんな世界もあるんだねぇ~

さあ、帰ろう。」

「まだ、着いたばかりよ。リョウくんも堂々としたらいいのよ。」


「これはアズサさん、ますます御綺麗になられて、どうですか此方で話をしていかれては?」

ヒョロイ若い男がアズサに声をかける。


「すみません、私は主人をエスコートしてますので御遠慮させてもらいますね。」


やんわり、アズサが拒否すると、俺を見下すような目をしながら、

「ははは、まさかその平民を本当に婿に迎えるつもりなのですか?

源の血が汚れてしまいますよ。

貴女の伴侶にはもっと高貴な血の持ち主が似合うと思いませんか?」


「それは我が源家に対する侮辱と取りますね。

主人は既に家臣達の忠誠も得ている、立派な婿です。

それに源家は武家にございます。

貴方のような武勇の欠片も無いような方など相手にする筈ありませんわ。」


「なっ!今の時代に武勇などいらないだろ!それに今の御当主ヨシナリ様も武勇に優れていないではないですか。」


「お父様もそれで苦労したのです。

でも、リョウのお陰でそれも解決しましたわ。」

男は苦々しく見ている。


「ふん、ならば源グループが地に落ちるのも時間の問題だな、猪武者が当主について上手くいく筈がない。」


「ご心配なく、既にリョウの支持の元、売上が増大してますので。」


二人が会話している中、蚊帳の外に置かれた俺は周りをキョロキョロ見ている。

すると、一人の10歳ぐらいの少年と目があった、彼も居場所がなく、居心地悪そうにしている。


俺は軽く手を振ると、嬉しそうに振り替えしてくれる。

俺は手招きで呼ぶと小走りでやってきた。


「こんにちわ、君も居場所がなくて落ち着かないのかな?」

「うん・・・お父様とはぐれてしまいまして、知り合いもいなくて。」

「俺も知り合いが少なくて困っていたんだ、どうだい、同じ境遇同士友達にならないか?」

「お兄さんも居場所がないの?」

「無いねぇ~」

「じゃあ、友達になってあげる♪」

「ありがとう、俺は桐谷リョウって言うんだ、リョウって呼んでくれるかな?」

「僕はノア・ロレーヌ、ノアって呼んでください。」

「じゃあ、ノア向こうでご飯でも食べながら話そうか。」

「うん♪」

俺がノアを連れて席に向かおうとすると、


「リョウどこ行くのよ?私も行くに決まっているでしょ。って、その子は?」

「友達のノアだ。ノアこちらはアズサ、この会場で少ない仲間だ。」

「初めましてノアくん、リョウの妻のアズサです、主人がお世話になってます。」

「リョウ、結婚してたの!こんな綺麗な人と結婚してるなんてリョウ凄いね。」

「結婚はしてないはずなんだけど、まあ、仲良くはしているよ、アズちゃん話しは終わったの?」

「ええ、話すような相手でも無かったですし、すぐに没落するでしょう。」

「よくわからないけど、終わったなら食事にしようか、俺とノアは向こうに座ろうと思うけど、アズちゃんはどうする?」

「じゃあ、少し挨拶をしてきていいかしら?」

「わかった。」

「くれぐれも出歩かないようにね。」

「はーい、行こうノア。」

「うん♪」

俺はアズサと別れノアと食事をすることにした。

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