第346話 マイの友達
海女さん視察から帰ったあと。
体をほぐしながらミズホと話していた。
「そろそろ湯治を終えてもよさそうだ。」
「どうしたの?」
「今日、泳いだけどだいぶ身体が動くようになったからね、完治した感じかな?」
「じゃあ、東京に帰るの?」
「うん、帰るよ。みんなに連絡するけど、まあ、マイちゃんの学校もあるし2週間後ぐらいにしようか。」
それから、俺達は帰宅の準備をする。
そんな中、男の子が二人訪ねてきた。
「おじさん!マイちゃんを連れて行かないで!」
「おじさん!マイちゃんはきっと此処に居たがってるよ。」
「おじさん・・・」
あらためて子供の言葉の残酷さに打ちのめされていた。
「あれ?リクくんとカイくんどうしたの?」
俺が打ちのめされていたいるとマイがやって来た。
「マイちゃん、東京に帰るなんて嫌だよな?」
「この街で暮らそう。」
「うん?私は御主人さまが暮らす所で暮らすの、だからこの町がどうとかはあまり関係ないかな?」
「御主人さま?まさかマイちゃんこのおっさんに変な事をされてるのか!」
「変な事って何?」
「えーと、その・・・エッチな事とか・・・」
「してないよー・・・まだ。」
「まだって!」
「御主人さま真面目だから子供の私に手を出してくれないの・・・私としてはいつでもいいのに。」
「マイちゃん、アイツに言わされてるのか!」
「マイちゃんこんなところ抜き出して俺達の所においでよ!」
マイはため息をつく。
「うーん、これで諦めてくれたら楽だったのに・・・あのね、私が此処に来たのは御主人さまにお仕えするためなの、だけど御主人さまは学校を休ませてくれなかったから短期でこっちの学校に転校しただけなの、よくしてくれたみんなの事には感謝してるけど、私にとって1番大事なのは御主人さまなの。」
「そんな!」
「マイちゃんは騙されてるんだ、小学生に御主人さまと呼ばしてるおっさんがいい奴なわけない!」
「御主人さまを悪く言わないでもらえますか!」
マイも俺が悪く言われた事で怒りだす。
そこに小学生の女の子がやってきた。
「リク、カイなにマイに迷惑かけてるのよ!」
「サツキ、メイ、これは・・・」
「マイちゃんは元々東京の人なの、向こうに家族や友達もいるだろうし、最初から短期の転校って言ってたじゃない!それになに、あんた達と行ってどうするのよ!生活なんて出来ないでしょ!」
「いや、俺の家で一緒に暮らせば・・・」
「それ、ほとんど誘拐だし、それにおじさん、おばさんに話してるの?」
「それは・・・」
男の子は言葉に詰まる。
「あきれた、此処までしてるのに何も計画性がないじゃない、もし、マイが一緒に行ったら路頭に迷うところだよ!」
「でも・・・お前らはマイちゃんが東京に行ってもいいのか!」
「そりゃ寂しいけど、仕方ないじゃない、だから私達は大きくなって東京に行ったら一緒に遊ぶのよ、ねっ?」
「うん、サツキちゃんも忘れないでね。」
「もちろんよ、その時は案内してね。田舎者ってバカにしないでよ~」
「しないよ。それより、いつになるかな?高校、大学、社会人?」
「高校で目指したいけど中々ね、大学か社会人になってからだね。」
「待ってるから、早く来てね。」
「うん、その時はミウさまのライブに一緒にいこうね。」
マイは女の子同士仲良さそうに話してる。
ミウの名前が出たので話に混ざってみる。
「あれ、二人もミウのファン?」
「えっ、はい。えっとあなたもですか?」
サツキは急に声をかけられ混乱しながら答えた。
「御主人さま、急に話しかけられたらサツキも困りますよ。」
「ゴメンゴメン、皆においていかれてたから何とか話に入ろうとね。」
「ねぇ、マイ。この人だよね、マイの好きな人。」
「うん、リョウさんって言うんだよ。」
「はじめまして、マイちゃんがお世話になりました。」
「は、はじめまして、サツキです。」
「メイです。」
「それで二人はミウのファンなの?」
「はい。その話でマイと仲良くなって。」
「あれ、マイちゃん、ミウの事を言ってないの?」
「うん、勝手に言っちゃダメなのかなと想って。」
マイは気まずそうな顔をする。
「気にしなくてもいいのに、それで二人ともライブに来る?」
「でも、チケットなんて手に入らないって聞きますよ。」
「なんとでもなるよ、たぶん。」
「御主人さまなら手に入りますよね。」
「マイほんとなの!」
「うん、だって、御主人さまが曲作ってます
し。」
「えっ?嘘でしょ?」
「まあ、作ってるよ。というか作ってたよ、此処で♪」
「じゃあ、次のアルバムの曲はここで?」
「うん、そうだよ。そうだ、1曲聞いてみる?」
「いいんですか!」
「マイちゃんの友達だしね、そこの男の子達も聞いていくかい?」
「はい・・・」
力なく答えた。
「じゃあ、ちょっと用意するから、マイちゃん10分ぐらいしてから練習場に案内してあげて。」
「わかりました。みんな楽しみにしててね。」
俺は準備をしに部屋を出た。
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