第345話 安藤の末路

「ま、不味いことになった!」

安藤は自分の事務所に帰ってから頭を抱える。

若様に支援お願いしにいったのに怒らせてしまった。

安藤は現在与党公認を受けている議員だ。

既に三期県議を勤め、来期は国政に挑戦するため、源グループの支援が欲しかったのだが・・・

「どうしたら、いいのだ。何を送れば若様は喜ばれるのか?」

安藤の頭には贈り物をして許してもらうことを考えていた。


「安藤県議、源グループの北畠さまがお越しです。」

安藤が悩んでいるうちに源グループから人が来てしまった。

「と、とおしてくれ・・・」

絞り出すような声で告げた。


「安藤さん、やらかしましたね。」

「うっ、申し訳ありません。」

「まあ、うちとしての決定をお伝えします。」

ゴクリ、安藤は息をのむ。

「もちろん、援助は打ち切りとさしてもらいます、その上で安藤さんの選挙区に別の候補を擁立してその方を県議にします。」

「そんな、お待ちを!」

「何か?」

「そんなことをされては私は議員でいられなくなります、どうかご慈悲を・・・」

「若様を怒らせておいて議員でいられるとでも?」

「それは・・・しかし、私は凄く反省しています。今後このようなことはないように致しますので何卒御再考を!」

「無理ですね」

「そこをなんとか!」

「それに、海女さんにたいしてのセクハラ発言も公開が決まってますし、政治家としてやっていくことは出来ないでしょう。」

「なっ!なんでそこまで・・・」

「若様を怒らせてそれで済むのがまだ優しいぐらいですよ。それに、私が直接話に来たのも最後の優しさです。大人しく隠居したほうがいいですよ。」

「・・・」

「もし、これ以上争うならあなたを破滅させなければいけなくなります。長年の付き合いがあるからの最後の助言です。大人しく隠居しておきなさい。」

「もうどうにもならないのですね?」

「ええ、これでもまだ押さえてる方です。」

「北畠さん、ありがとうございます。助言の通り隠居しますので、どうか息子や娘が被害に合わないようにだけお願いします。」

「いい決断です、海女さんへのセクハラ発言の公開だけは押さえるよう動いてみますが・・・」

「お願いします。」

安藤は涙ながら北畠に訴え、

完全降伏ということで北畠は最後の温情を勝ち取った。

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