第312話 呑んだ翌日。

「おはようございます、リョウ。」

翌朝、寝ている所をアズサに起こされる。

「う、うん~もう呑めないです、日本号は無理ですって~」

「リョウ大丈夫?」

俺は意識が戻ってくる。

「だいじょばない、水もらえる?」

「はい。」

アズサに手渡され。一気に飲みきったあと。

「アズちゃん、どうしたの?学校あるんじゃ?」

「お父様の言いつけで見に来ましたよ。湯治で療養してる人がなんで此処で酔い潰れてるのか聞きにきました。」

「なんでだろ?流れに身を任した結果?」

「はぁ、リョウは目を離したらいけませんね。何処に行くことやら。」

「子供じゃないから、行き先ぐらいわかるよ。昨日は暇潰しに伊勢神宮に観光に来ただけだよ。」

「・・・それがどうやれば、戦勝報告からの祝賀会になり、決起集会まで繋がるんですか?」

「不思議だね?運命って恐ろしいや。」

「もう、それより、朝食の準備が出来てますよ。起きれますか?」

「起きれるよ~まだ、お酒は残ってるけど。」

俺はフラフラしながら歩きだす。

「ちょっと、リョウ着替えないと。」

「あっ、そうだった・・・」

アズサに着替えを手伝われ、部屋を後にする時にふと気付く。

「アズちゃん、なんで着替えを手伝ってるの!」

「今頃ですか?いきなり脱ぎだすからビックリしましたよ。」

「ビックリしたじゃなくて、部屋から出るとかあるでしょ!手伝わなくても!」

「それぐらい妻として当然です。」

「まだ妻じゃないでしょ!」

「ふふ、時間の問題ですよ。私は逃がす気ありませんし♡」

ちょっとイタズラしてる笑顔が魅惑的だった。


「若!おはようございます!」

大広間に入るとみんな勢揃いしていた。

「みんな早いね、俺なんて起きかねたのに。」

「若は酒の修行は足りないようですな。」

「あれぐらいは喉を潤すぐらいですぞ。」

「化物達がいるよ!」

会場は笑い声に包まれる。

「皆さん、ホドホドにしてくださいよ。皆さんと違い、主人はあまりお酒に強くないんですから。」

「まあまあ、アズちゃん。みんなと呑めて楽しかったし。でも、アズちゃんもこう言ってる事だし、徐々に増やしていくよ。手加減よろしく~」

「くくく、約束できませんなぁ~」

「どうせ若は周りに合わせて呑みだすから。」

「みんなヒデェ~」

「さあ、早く槍を呑みとってくださいよ。」

「母里さん、貴方から呑みとるの無理じゃね?人間は樽で酒を呑む生き物じゃないよ。」

「そんなことないですよ~」

食事しながらもみんなと和気あいあいと話してる。

「リョウ、ホントに打ち解けてるね。」

「みんないい人達だからね。一晩かけて呑んだら仲良くなった。あれ?俺いつ部屋に帰ったんだろ?」

「リョウ、記憶を失うまで呑んだらダメだよ。」

「気をつける。・・・予定」

「ちょっと、守る気ないよね。」

「後ろ向きに善処さしてもらいたいと考えております。」

「前向きなさい。」

「だって、気がついたら記憶が跳ぶんだもん♪まさか時を越えた!」

「そんなこと無いからね。もう。」

プン。とするアズサを見て笑いが起こる。

そして、周囲からはリョウとアズサの関係が良好であることがよくわかった。


朝食も終わり。解散となり、各自帰路についた。

俺も湯治場所に向かうがふと電話が鳴る。

相手は兄貴だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る