第306話 リョウ怒る!

「リナ?来てくれたの?」

「お兄ちゃん!大丈夫だった?ケガはない?今、ゴミを片付けるから。」

銃口をダイキに向ける。

「待て待て!なんで俺を狙うんだよ。」

「お兄ちゃんを誘拐するなんて許さない、罰が必要。」

「まあまあ、リナ落ち着いて、ダイキもジロウさんの命令に逆らえないだけだから。」

俺とリナが話している中、タツマが俺に撃ち込んでくる。

かわそうと思ったが、その先にミウがいた。

とっさに俺は肩で銃弾を受ける。

「グッ!タツマ、お前はやってはいけない事をしたな!」

俺は殺意をタツマに向ける!

「ヒイィィィ!」

声にならない声が上がる。

サトシが俺に槍を繰り出そうとするが槍をダイキに掴まれる。

「サトシやめとけ、これ以上動くなら・・・殺すぞ!!」

ダイキの殺意がサトシに向く。

「タツマ、俺を狙うのはいい。ジロウさんの訓練の一環だろう。ただ戦闘員でないミウに当たる軌道で撃ったのは許せん、そこまでして俺に当てたいなら、俺も加減はせん。今日ここで死ね!」

「ま、待ってくれ、リョウ兄、そんなつもりはないんだ・・・」

「つもりはない?嘘を言え、そこまでの腕がついているんだ、避けれないように撃ったんだろ?」

「そ、それは・・・」

「ただ、それをした以上、訓練じゃない。このまま土に返れ。」

タツマの身体を猿が押さえつける。

「や、やだよ、ま、まってよ。リョウ兄!」

「お前には俺の怖さを教えてなかったな・・・身を持って味わえ。」

抵抗するタツマだが、猿に引き摺られ森の奥へ・・・

「タツマ!!ダイキ離してくれよ!タツマを助けないと!」

サトシが叫ぶ!

「なら、お前も一緒に行くか?どうやらお前も俺達を舐めてるようだな。」

「えっ・・・」

「友達と二人だ、寂しくないだろ?リョウ、コイツも連れてけ。」

ダイキは槍を奪い取り、タツマの近くに投げる。

そして、タツマと同じように猿に押さえられ、森の奥へ・・・

「ちょい、離せよ!くそっ!ダイキ、リョウゴメンって!許してよ!ねぇ!」

サトシの言葉に俺とダイキは返事もせずにいたら・・・

「ちょっと、待って。ホントに殺すの!俺達親戚だよ!ねぇ!」

「はぁ、仲間の命を狙っておいて親戚か?ふざけてるな、楽に殺すのはやめた、生きたまま猪に喰われろ。」

「ねぇ、ホントに、嘘だろ?もうしないから助けてよ・・・ねぇ、リョウ兄。」


「そこまでだ!」

ジロウが止めにくる。

だが、猿は連れて行くのを止めない。

「リョウ、止めないか!」

「ジロウさん、俺やダイキに無茶をするのはまだいいんです。ただ、俺の仲間に手を出したらどうなるか、わかりますよね?」

「うっ、それはだな、しかし、事故みたいなものだろ!」

「それでもです。俺達、武に生きる者は訓練中に死ぬのも仕方ないと思うけど、非戦闘員を狙った以上、訓練じゃありませんよね?」

「それはそうだが、コイツらも悪気があった訳でなくだな、お前に当てたい一心で・・・」

「俺に当たって死ぬのは構わないと、避けれない事情を作り当てる事がなんの訓練に?」

「しかし、お前はちゃんと対処したじゃないか、ダメージを少なく肩の骨で銃弾をそらし軌道を変えただろ?」

「お陰で重傷ですけどね!せめて刀があれば何とかしましたが誰かのせいで丸腰ですので!」

「それは・・・」

「それにこんなことをした理由も聞かせてもらいましょうか?ドイツから無理矢理帰国させられ、いきなり襲撃、こんなに急ぐ理由はなんです?それにコイツらの命を救おうとしてるのは何故ですか?ジロウさんなら負けた結果死んでも構わないという方針のはずですが。」

「それはだな・・・中国の知り合いと今度弟子を披露する機会があるんだが・・・相手が18歳なんだ。」

「それで?」

「お前達を出すと年齢で勝ったといわれるのも癪だからな、それで年下で戦えそうな奴を選んだらコイツらだったんだが、少々増長してたからな、お灸を据える意味でお前達とやりあわせたんだが・・・」

「その結果死んでしまったと。」

「ま、まだ死んでないです。お願いします。助けてください!」

タツマは号泣していた。

「見苦しい、桐谷の名を持つなら死に際は綺麗にしろ!爺さんが見たら泣くぞ!」

「いやです!死にたくないです!」

「はぁ、ジロウさんあんなのが役に立ちますか?」

「腕はソコソコなんだぞ。」

「覚悟が無さすぎです。あーなった以上、残された行動は自決あるのみでしょ。」

「お前の考え方もおかしいが・・・ここは俺の顔を立ててくれんか?」

「ジロウさんにはいろいろ借りがありますからね、わかりました。今回だけです。ただし、コイツらが次訓練でも襲ってきたら加減はしませんよ。」

「仕方ない、それにここまで恐怖を植え付けられたら訓練にもならんだろ?」

俺は指をならすと、押さえていた猿が離れていき、腹などを舐めていた猪が残念そうに離れていった。

「た、助かったのか・・・」

「よ、よかったよ、生きてるよ。」

二人は地面に座り込み、抱き合い号泣する。

「ジロウさん、あんなの連れていって大丈夫ですか?」

「言うな、俺も考えるものがある。」


しばらくすると二人は泣き止み、土下座して謝罪をしていたが、俺は次はないとだけ告げた。

そのせいか二人は震え上がっていた。

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