第294話 緊急事態

「ヒロキどうした?」

「リョウ、呑んでる所悪いが緊急事態だ、すぐ来てくれ・・・ってケガしてるのか!」

「ああ、半月板をやっちゃって、全治1ヶ月だ。」

「そんな!こんな時に!」

「おいおい、何があったんだよ!」

「ここじゃなんだ、ちょい場所を変えよう。」

俺はドイツ代表のみんなと別れを告げ、ヒロキについて行く。


「それで、何があったんだよ?」

「レーアさんの兄貴の話覚えているか?」

「ああ、トレジャーハンターしてるとか言ってた奴だろ。」

「それだ。居場所がわかったんだが・・・」

「何処にいるの?」

「ギリシャだ・・・」

「・・・まさか?」

「クレタ島のリョウが見つけた遺跡に入る準備をしてるらしい。」

「止めろよ!」

「一応連絡はしたんだが、聞く耳を持たないんだ。」

「おいおい、死ぬ気か?」

「レーアさんの手前見殺しにするわけもいかないだろ?それで俺も向かおうと思うのだが、遺跡に入る事を考えればリョウに来てもらいたい。」

「・・・ヒロキが入るのは確定か?」

「確定だな。」

「はぁ、友を見殺しには出来ないな、俺も行くよ。」

「すまん!」

「いいって、それにリナの友達を泣かすわけにはいかないのは俺も同じだしな。ダイキ!聞いてるだろ、準備するぞ!」

「なんだよ、気付いていたのか?」

「あたりまえだ、今回はヤバイぞ。覚悟しておけよ。」

「いやだなぁ~」

「やかましい!あと一応、ジロウさんに救援求めておいて。」

「りょーかい。」

「ヒロキ、1日くれ。明日1日で応急処置しておく。」

「行けるのか?」

「行くしかないだろ?俺も死にたくないからな、準備はいる。」

「わかった、ダイキもいいな?」

「あいよ、ただし、お前達がヤバかったら他を見捨ててでも、逃走に入るぞ。」

「「了解!」」


「待って!リョウくん何するつもり?」

「ミウ、ちょっと遺跡に行ってくるだけだよ。」

「危ない事があるんだよね?」

「まあ、ちょっとだけね。」

「行っちゃダメだよ!」

「うーん、行かないといけないかな?友のためだし、一宿一飯の義理もあるしね。」

「そんな!」

「大丈夫、ヒロキとダイキが一緒なら何とかなるさ♪」

「リョウくん。」

「だから、ミウ、笑顔で送り出してくれないかな?」

「・・・わかったよ、でも、絶対に帰ってきてね!」

「もちろん、死ぬ気はないし。」

「お兄ちゃん、リナも行く。」

「リナ、止めても来るよな?」

「うん!」

「じゃあ、行こうか。準備は万全にね。」

「うん。フル装備で行く。」

「アズサ、預けてた装備日本から持って来れる?」

「持ってきてますよ。リョウの愛刀、虎徹と鎖帷子、鉢金、あと、針?」

「そうそう、これこれ。ありがとう。」

「私としても止めたいのですが。止まらないのですよね。」

「もちろん。」

「それなら、武家の娘としては主人を送り出すだけです。必ずや本懐を遂げてくださいませ。」

「ありがと。まあ、明日1日は身体のケアだけどね。」

そして、その日は解散した。

こうして、俺達は厄介事にクビを突っ込んだ。


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