第238話 パーティー

「えっ!マキホントにきたの!」

「なに、ヨシコ、招待しておいて酷くない?」

「だって・・・ねぇ・・・悪いこと言わないから今からでも帰ったほうがいいよ。」

「なにそれ!ヨシコは友達だと思ってたのにそんなこと言うの!」

「友達だから言ってるんだよ、絶対楽しい事はないよ。」

「楽しいかどうかなんて、私が決めることじゃない!」

「わかったよ、でも、私は止めたからね。」


マキは会場に入る。

「おい、あいつ。」

「よくこれたな。」

「神経疑うよね。」

「関わらないほうがいいぞ、源家はあの一家を敵と見なしているらしい。」

会場はざわつき、その声はマキの耳にも入る。

「なによ、事実も知らないで好きな事ばかり言って!」

「あの~マキ?」

「あっ、トシコ久し振り~元気にしてた?」

「う、うん、私は元気なんだけど、ちょっとこっちに来て。」

「えっ?なに?どうしたの?」

マキは会場の外の目立たない所に連れてこられた。


「マキ!なに考えてるの?あなたが来たらみんなに迷惑がかかるのがわからないの!」

「なに、トシコも私を邪魔者扱いするの!友達に酷くない?」

「あのね、私の旦那は源グループに勤めているの、あなたが参加したパーティーに私がいたら旦那が困ることになるの。それに私だけじゃないわ、この中には源グループと関係ある人が沢山いるのその人全員に迷惑がかかるのがわからない?」

「そんなの私に関係ないじゃない!私は招待状がきたから参加しただけよ、恨むなら招待

した人を恨みなさいよ!」

「そう、じゃあ私は帰らせてもらうわ。あなたがそんなに自分勝手な人だとはおもわなかったわ。」

「ま、待って、トシコに話があったの。」

「・・・なに?」

「あのね、私達を支援してくれない?」

「あなた、私の話を聞いてた?あなたと関わると旦那の立場がなくなるの、他をあたってくれる?」

「よく考えてよ!私達の件は源会長の私怨でしょ?会社を私怨で動かしているのよ、これを上手く使えばあなたの旦那が上にいくことも可能じゃないの?」

「おあいにくさま、源グループは全社員、会長の判断を支持してます。もちろん、私の旦那もね。それに若を傷つけた、あなたを憎んでもいるのよ、そんなあなたを支援するなんて旦那に言っただけで離縁されてしまうわ。ただでさえ友人というだけで肩身が狭いのに・・・」

「そんな・・・」

「じゃあ一応、友人だったから忠告したけど、これからは連絡もしてこないでね。私もあなたのせいで自分の家庭を守るので精一杯だから。それじゃ。」

トシコは主催者に説明して帰って行った。

それに続くように多数の人が帰って行き会場には数えれるぐらいの人しか残らなかった。


マキは見知った顔を探すが、既に誰もおらず、困り果てているところに。

「はじめまして、あなたのような素晴らしい女性を見たのは初めてです。お名前をよろしいですか?」

「えっ?」

振り替えると二十代と思われる若い男性が声をかけてきていた。

「私のことですか?」

「そうですよ、こんな素晴らしい女性は貴女しかいませんよ。」

「そんな・・・」

「それで、お名前をお聞かせ願えますか?」

「マキです、やま、宇都宮マキです。」

「おーマキさんですか、名前もかわいらし

い。どうです、会場は寂しくなりましたが一曲踊りませんか?」

「はい、喜んで。」

マキは若い男性に声をかけられ浮かれていた。

踊りながら

「お名前を聞いていませんでした。うかがってもよろしくて?」

「島田ソウと言います、お見知りおきを。」

「ソウさんですね。いいお名前ですね。」

二人はいい雰囲気を出しつつ、ダンスを楽しみ、後日会う約束をして、パーティーを終えた。

その後、マキは何度かソウとのデートをかさね、益々のめり込んでいき・・・

「マキさん、いい話があるんですが未公開株を購入してみませんか?必ず儲かる株なんです。」

ソウの簡単な言葉に騙され、自分の資産千万はもちろん実家の資産一億もソウに渡してしまう。

その日からソウとの連絡がつくことはなかった・・・

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