第183話 政治家

「ここに政治家がいるの?」

「うーん、まだ来てないみたいだけど。ここに官房長官と公安委員長がくる予定だよ。」

「なんかめんどくさそう。」

「そう言うなよ、政府もいろいろ大変だったんだよ。」

「俺を仕止めようとするからだよ。」

「まあまあ、落ち着いて。」

「西園寺さま、お連れさまが到着なされました。」

「案内してもらえるかな?」

「かしこまりました。」


「君が桐谷くんかね、この度の一連の騒動どう考えているのかい。」

開口一番、挨拶もろくにせず、責め立ててきているのは公安委員長の猿渡だった。

「えーと、それなら警察は何を考えて冤罪をしたのですか?それに政府との和解は済んだと認識してましたが違ったんですか?」

「源グループ、西園寺グループと和解しただけで君個人は関係ない!」

「そうですか、なら話は終わりましたね。叔父さんそう言う事ですので、どちらにつきますか?」

「リョウくん、短気はダメだよ、猿渡さんでしたか?それは政府の認識ですか?」

「もちろんだ、世間がうるさいから謝罪したがそもそもそいつらが行った事は犯罪だ!西園寺さんもそんな奴切り捨てた方が企業のトツプとして当然じゃないかね。」

「叔父さん無意味だったね、まあ、叔父さんが政府についてもいいよ。」

「リョウ見損なうなよ、俺は家族を売ったりしないさ。猿渡さん、其方がリョウに会いたいと言うから政府の顔を立ててセッティングさしてもらったが、どうやら私は利用されたみたいですね。」

「西園寺さん!なんでこんな若造の為に!」

「私の家族を侮辱する気かね?」

タツヤ叔父さんは猿渡を睨み威圧する。

「ヒッ!」

「まあまあ、西園寺さん、最初からそんなに怒ると話す事も話せなくなりますよ。」

「官房長官!」

猿渡に助け船を出したのは官房長官の西口だった。

「西口さん、総理の約定は意味が無かったのですか?」

「そんな事はない、ただね、警察と政府の顔も立ててくれんかね?」

「顔を立てろと言われても一体何を?」

「一度、桐谷くんを警察に出頭させてくれないか?」

「はい?」

「いくら超法規処置をとったとは言え、死人もケガ人も出ているんだ、遺族や被害者の感情も考えて形だけでいいんだ、罰を受けた形にしてくれんかな?」

「くくく、それで裏で始末ですか、単純ですね。言っておきますが俺は捕まりませんよ。遺族や被害者だと?文句があるなら皆殺しだ!誰もいなくなれば問題ないだろ?」

「君は人の命をなんだと思っているんだ!」

「自分の命と比べてどちらが重いと?」

「形だけ捕まるのに何の不利益があるんだ!」

「忘れておいでのようですが、俺は冤罪で拷問受けたんですよ。もう一度拷問を受けてこいと?官房長官はなんて自己中な人何でしょう。」

「そんな事はさせない!だから私を信じてくれないか?」

「あなたの何を信じるのですか?総理と政府の約定を破ろうとしているあなたのどこを信じる要素があるんですか!」

「そ、それは・・・しかし、政府にもメンツというものがあるんだよ。」

「話は決裂ですね、もう一度戦闘態勢に入らせてもらいます。今度は政府が相手ですね。」

「リョウ、落ち着け!」

「叔父さん、俺は叔父さんの顔を立てて今こいつらを始末しませんが、庇うようなら叔父さんでもただですみませんよ!」

「俺は味方だ、ただ政府と敵対してどうする!まずは話し合いを。」

「話し合い?これのどこが話し合いですか?一方的に捕まって殺されてこいという奴らと何の話ができるのですか、どうせ若造の一人どうとでも出来ると思っているんでしょ?」

俺は殺意を二人に向ける。

「ヒィーーー!」

「自分の発言で死ぬ覚悟もないのに偉そうにするな!言っておくがお前らが売ってきた喧嘩だ、買ってやるよ!」

「リョウ・・・」

「叔父さん、短気になってるのは気付いてますが引くと殺されるし、関わってる仲間にも迷惑がかかります。俺も引けないんですよ。」


俺は電話をかける。

「ダイキ、今度は政府が相手になりそうだ。協力頼めるか?」

「もちろんだ、そのかわりミキへの言い訳は期待していいんだよな。」

「全力で協力する。」

「なら、引き受けた。親父達にも連絡しておくよ。」


続けてアズちゃんにも電話をする。

「もしもし、アズちゃん?」

「リョウくん、どうしたの仕事じゃなかったの?」

「それがね、タツヤ叔父さんに連れられて政治家に会ったんだけど、話し合いが決裂して政府とやり合う事になったから、一応連絡、どっちにつくかの判断は任せるよ。」

「もちろん、私はリョウくんにつくよ、うちの家臣にも伝えておく。でも、何があったの?」

「官房長官が約定を反故にして、俺に一度捕まれと言ってきた。」

「それって、拷問かけますって話だよね?バカじゃないの?」

「俺も思うよ。」

「じゃあ、すぐに戦闘態勢に移るから。リョウくんは私の家に来てね。防衛態勢整えておくから。」

「世話になるよ。」

「うん♡」


「な、なんだ、今の電話は・・・」

「聞いての通りです、源グループは再度戦闘態勢に移行してくれるそうですし、俺の友人達も戦闘に入ります。覚悟してください。米軍基地を荒らしても平気な奴等ですから。」

「そ、そんな事になったら国が乱れる・・・」

「だから?あなた方が望んだんでしょ、せっかく和解が済んでるのに蒸し返したんだからな。覚悟しておけよ。」

「西園寺さん!何とかしてくれませんか!」

「無理だね、それに君たちのせいで俺の信用も落ちたみたいだ。それこそどうしてくれるんだ!」

「話は終わりましたね。それでは失礼さしてもらいます。」

俺は部屋を出ていった。


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