第179話 いざ鎌倉

「リチャード!何故リョウくんの所にいった!」

ヒアリの毒の手当てを受けているとレオンが入ってきた。

「すまない、話し合いの機会をもうけようと思ったのだが・・・」

「聞いたぞ、剣を持って力ずくで話を通そうとしたらしいな。」

「それはあくまで誤解だ、ただ話すのにもテーブルについて貰わなければならないだろ?」

「それでそのありさまか?」

「面目ないな、まさか剣士があのような真似をするとは!」

「リチャード、お前は一度国に帰れ。お前がいると話し合いにもならないだろ。」

「そんな!次は必ず!」

「リョウは敵じゃないんだ、守る相手だったのに・・・何故こうなったかよく考えてくれ。それとエミリーから伝言だ、二度と顔も見たくないそうだ。」

「そ、そんな・・・」

「当然だろ、エミリーはリョウを守って貰いたくてリチャードを呼んだのに、そのお前がリョウを殺そうとしたんだからな。」

「しかし、アイツは生きてる!」

「それはお前がした結果じゃないだろ?カエデという護衛がリョウを守り、二度目はリョウ自身が切り抜けただけじゃないか。」

「今後の友好の為にも一度国に帰れ、エミリーも時間がたち、リョウとの関係が改善されればお前も許してもらえるかも知れないからな。」

「・・・わかった、明日にでも帰国しよう。」

「絶対にリョウを襲うなよ、おとなしく帰国するんだ。」

「・・・わかってる。」

リチャードは肩を落として帰国する事になった。


「リョウくん、どこ目指しているの?」

海に出た俺達はクジラの上にゴザを敷いてノンビリ旅をしていた。

「小田原城!」

「違うの、どこの城を目指しているかは聞いてないからね。でも、小田原に向かっているの?」

「比較的に近いからね。それに風魔の支援を受けれるらしいから。」

カエデもうなずく。

「それでリョウ兄、本音は?」

「小田原城を見てみたかったんだ♪」

「はぁ、行かないからね。」

「えっ?」

「えっじゃないよ、何で行けると思ってるの?」

「武士の情けでござる」

「ダメです。それより着替えも置いてきちゃったし、どこかで休める場所探そう?」

「鎌倉か熱海なら源家の屋敷があるのですが・・・」

「西園寺の別荘はこの辺だと熱海ぐらいかな?リョウくんどっちにする?」

「鎌倉!」

「なんでか聞いていいかな?」

「鎌倉って江ノ島あるとこでしょ!ドラマやアニメの聖地じゃん♪」

「うーん、ちょっと違うかなぁ~」

「えっ?違うの!」

「隣の町にはなるんだけどね。」

「なんだ、それなら見えるからいいよ。江ノ電乗ろ♪」

「乗りません!」

「移動は車を呼びますから。」

「えー」

「リョウくん状況わかってる?」

「うっ!仕方ない次来たときにしよう。」

「リョウ兄、わたしも鎌倉来たことないから一緒に楽しもうね。」

「いいね、大仏さん見に行こう。」

「ミズホさん、抜け駆けはダメだよ、リョウくんわたしも行くからね。」

「ミウは来たことないの?」

「うん、近くて遠い感じなんだよね。それに一緒に行きたい相手はリョウくんだけだし。」

「リョウくん、私は来たことあるけど、そのかわり案内出来るからね。」

「まあ、その時はみんなで来よう。」

「リョウくんならそう言うよね。」

「でも、忙しいミウさんは来れるかな?」

「うっ!アズサさんイジワル言わないでよ、帰ったら仕事と学校で忙しくなるのはわかってるけど・・・」

「・・・仕事、今度こそクビかなぁ」

「源グループはいつでも入社可能ですよ。」

「アズサさん、勧誘しないで!ちゃんとお父さんがやってるから大丈夫だよ。」

「大丈夫かな?俺、ほとんど出勤してないような・・・」

「大丈夫だよ、お父さんに聞いたらリョウくんの営業成績トップだって。」

「へっ?何が起こってるの?」

「だから、安心して出勤できるよ。」

何が起きているのかわからないが、取りあえず鎌倉の源家の屋敷に向かった。



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