第154話 逃走先

「リョウさま、親戚ともうされましたがどのような方なのですか?」

「ああ、親父の弟にあたる人でアキヒロさんって言うんだけど昔から可愛がってもらってた。」

「そうなんですか。・・・その人は人間ですか?」

「カエデ、失礼な事は言うなよ。俺も含めて人間だよ。」

「リョウさま、リョウさまを含めると少し微妙に・・・」

「なんで!」

「ご自覚ないのですか?」

「ちょっと動物と話せるだけじゃん。」

「ちょっとじゃないですよね?」

「うーーー!」

カエデと話しているとアキヒロさんの家に着いた。

「あっ、着いた、言いたいことはあるけど行こうか。」

「はい。」


「ごめんくださいーアキヒロ叔父さんきたよー。」

「おっ?リョウか?久し振りだな、大きくなって。」

「叔父さんも元気そうでよかったよ。」

「リョウは世間を騒がしすぎだな。」

「あはは、騒がしたい訳じゃないんだけどね。」

「それで、今日はどうしたんだ?」

「ケガが治るまでしばらく置いてくれない?」

「いいぞ、タエも喜ぶだろう。」

「おばさんも元気?」

「ああ、元気にしてるよ。」

「あれ、ミズホの名前が出なかったけど、どうしたの?」

「あの子は春から大学にいってるのだが、ちっとも帰ってこないんだ。」

「遠くの学校?」

「いや、同じ神戸なんだが一人暮らしがしたいと学校近くに家を借りているんだ。」

「へぇー近いんだからたまには帰って来ればいいのに、叔父さんも寂しいでしょ。」

「まあな、まあ学生生活が楽しいのだろう、それにリョウが来てると知れば顔ぐらいだすだろ。ところで隣のお嬢さんはどなただい?」

「ああ、カエデと言って、俺の護衛をしてくれてる。一緒に置いてもらってもいい?」

「かまわないよ、リョウが世話になってるね。」

「いえ、リョウさまに仕えることは最高の喜びですから。」

「そうかい、しかし、ミズホと、もめないかねぇ?」

「はい?なんで?」

「ミズホはリョウに懐いていただろ?とられたとか言い出しかねない。」

「ない、ない、前に会ったの四年ぐらい前の中学生の時ですよ。そんなこと言ってたら嫌われちゃいますって、」

「それでか、最近電話しても冷たくてな。」

「女の子は難しいですよね~」

「おっ、リョウは女心がわかるようになったか?」

「いいえ、さっぱりですよ。ははは。」

「そうですよね、サッパリわかってませんもんね。」

「カエデなに?」

「なんでもありません。」

「まあ、今晩はご馳走を用意するからそれまで休んでなさい。ケガも重そうだしな。」

「ありがとうございます。ちょっと疲れたので少し休みます。客室二つ借りますね。」

「ああ、どれでも使ってくれ。タエに挨拶は夕食の時でかまわないから、それまで寝てなさい。」

「はい、それでは失礼します。」

俺は客室のひとつを借り眠りに入った。




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