第143話 帰った後
リョウが帰った後・・・
「お父様!リョウさまは!」
サエは目を覚まし、ソウエンに聞く。
「リョウくんは地元に帰ったよ。」
「そんな、私のせいでこんなことになったのに!」
「リョウくんは裏家業をしてるみたいだね、人も殺してると言っていた。サエ、残念だけど彼の事は忘れるんだ。」
「お父様!何を言ってるのですか!リョウさまがしてくれた事は私を助ける為にしてくれたのですよ!」
「それでも、殺しはいけない事だよ。」
「お父様は私が殺されてもいいと?」
「何でそうなるんだい。」
「私はその裏家業の人に襲われました。きっとリョウさまがいなければヒドイ目にあっていたでしょう。それなのに私は受け入れられず、放心してしまうなんて・・・」
「サエ・・・サエの感覚が正しいのだよ、安易に人を殺す選択をするリョウくんが間違っているんだ。」
「違います!リョウさまは今後自分がいなくても私に被害が出ないようにしてくれただけです。確かに褒められた行為では無いですが、それでも、リョウさまを責めるのは間違ってます。」
「サエ・・・」
「お父様、テルさまに電話をしてきます。リョウさまに謝罪しないと。」
サエはソウエンの前から立ち去り、部屋に置いてある携帯を取りに行く。
「テルさまですか?私ですサエです。」
「はい、なんですかね?うちのリョウが何か迷惑をかけたかねぇ?」
「いえ、実は・・・」
サエは事情を説明した。
「はあ、あの子は京都に行っても棒を振り回しているのかね。」
「リョウさまは悪くありません。私を守る為に・・・」
「いいんだよ、うちの人と同じですぐに暴力に訴えるリョウが悪い、お茶を覚えれば丸くなるかと思ったんだけどねぇ~サエちゃんも気にしなくていいからね。」
「でも!」
「サエちゃんは優しいね、その優しさを大切にしなさい。リョウは私がしつけておくから。」
「それでですね、こんな時に言うのもなんなのですけど私はリョウさまとこ、婚約したいのですが・・・」
「サエちゃん?どうしたの?」
「リョウさまは私の為に尽くしてくれました。私はそれに答えたいのです。テルおばあさま、どうか許してもらえないでしょうか?」
「そう言った話はソウエンに話してからに、」
「お父様は昨日茶会の場で認めてくれました。」
「ソウエンがかい、ならいいよ。ただし、サエちゃんが立派な女性になったらの話だからね。一人前の女性になった時、私が婚約者として認めてあげよう、それまで努力するんだよ。」
「はい!」
「ちょっとソウエンに変わってもらえるかい。」
「わかりました。」
電話をソウエンとかわる。
「ソウエン、サエちゃんはリョウと婚約したいと言っているがソウエンはどうなんだい?」
「私としては普通の相手がいいかと思っているのですが・・・」
「なるほど、じゃあ、サエちゃんにいい人が出来たらそっちを優先でかまわないよ。ただし!うちのリョウにもいい相手が見つかったら変わるかも知れないからね。何せサエちゃんが大人になるにはまだ時間がかかるしね。」
「はい、こちらとしてはそれでかまいません。しかし、いいのですか?リョウくんに確認しなくて?」
「かまわないよ、どうせ棒を振り回すだけの子なんだから。いい相手がいたら適当にくっつけてしまえばいいんだよ。」
「ははは、リョウくんも大変だ・・・」
こうしてリョウの婚約がばあちゃんの中で決まった・・・
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