第135話 茶会準備

「でっかいね~」

「ようこそ土御門の家にいらっしゃいました、本日はごゆるりとなさってください。」

サエは家を見て驚いている俺に向き合い、歓迎の言葉を言ってくれた。

「ありがとう、さあ中に入ってソウエンさんにも挨拶しなきゃね。」

「はい。」

サエに案内されながら、屋敷を進み、居間にいたソウエンさんにあった。

「ソウエンさん、ただいま着きました。」

「リョウくん、やっと来たかい。茶会の時間に間に合わないかと思ったよ。」

「そもそも、その時間を聞いていませんが?」

「あれ?伝えてなかった?危ないところだったなぁ。もうすぐ、始まるから準備してもらえるかな?」

「はい、でも、準備って何をすれば?」

「これに着替えて。」

和服を渡された。

「リョウくん用に仕立ててる、さあ早く。」

俺はせかされ急いで着替えた、


「リョウくんどうだい?」

「ピッタリですね」

「なら、急ごうか、来客の方がそろそろつく頃だ。」

俺とソウエンさんは来客を迎えに行った。


「今日は招待ありがとう。ソウエンくんが開く茶会は久し振りだな。」

そう話すのは一条家当主 一条キミツグさん。

公家の名門の方らしい。

「うん?そちらの方はどなたかな?」

「初めまして、桐谷リョウと申します。今日はソウエンさんに茶会の何かを教わるため同席させていただけます。」

「そうか、ソウエンくんの後継者になるのかね、それは目出度い。」

「いえ、そのような事は・・・」

俺と一条さんが話してる中、次の人が来た。


「へぇ~ここが土御門か。」

「お父さん、ここが土御門の家なの古くさいね。」

「あの?どちら様でしょう?」

ソウエンさんが訪ねる。

「あー今日茶会をやるんだろ、来てやったからもてなすように。」

「いえ、どちら様ですか?」

「ワシを知らんのか!京都府議の和田ヨシムラだ、こいつは息子のヨシキだ。知らんとは土御門も堕ちたものだ。」

「しかし、私どもと交流はなかったはず、今日の茶会は内々の者で行いますので、本日はお引き取りを。」

「貴様、そんな事を言っていいのか!」

「あれ、ヨシムラ議員ではないですか?ヨシムラ議員も招待されていたのですか?」

「おー外山くん、君も言ってくれたまえ、せっかく来てやったのに私を門前払いにしようとするのだよ。」

「それはいけない、ソウエンさん頭の固い事を言わずに参加してもらいましょう。」

「しかし、今日はですね。内々の茶会なので・・・」

「まあまあ、ここは、私の顔を立てると思って、それにお茶は急なお客も迎えるのが礼儀でしょう。」

「仕方ないですね、リョウくんすまない、少しイレギュラーが起きたけどいいかい?」

「かまいませんよ、俺は見してもらうだけですし」

「すまないね。」

「そんな話はいいから、そこの若いの案内しろ。」

「彼は私の客です。」

「まあまあ、ソウエンさん。和田さんは京都の有力府議ですから、ここは押さえて。」

「しかし!」

「あーソウエンさんいいですよ案内ぐらい茶室に連れていったらいいんですね。」

「すまないね。」

「さっさといかんかこのグズが!」

和田ヨシムラは俺を蹴る、

少しイラッとくるが一応客らしいので我慢する。

「こちらです・・・」

俺は我慢を見せないように、和田親子を案内するが・・・

「お父さん、ここの家ってすごいの?」

「ははは、ただ古いだけだよ、お父さんの方が何倍もすごいさ。今日は顔を見せて俺に従わしにきたんだ。いい加減名家だからと言って逆らうとどうなるか見せないとな。」

「ここです、準備が整うまで少々お待ちください。」

「このワシを長く待たすとただじゃすまないからな、よく伝えておけよ、ボンクラ。」

再度蹴ってくる。

『始末するか?』爺さんの教えが頭をよぎる。

・・・我慢をした。俺は普通の人間、爺さんとは違うんだ!

そして、俺は和田親子から離れて行った。

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