第131話 ばあちゃんはサエの味方

「俺がいつ婚約したの?サエちゃんに会うの事態が七年ぶりぐらいだよね?」

「その七年前にしてましたよ。大きくなって独身だったら結婚すると、私も聞きました。」

「それって、小さい子供にする話だよね。それを婚約というのは違うと思うけど。」

「そうだよ、それならミウの方が先にしてるよ!」

「お婆様、私はリョウくんに会った時に全てを見られてしまいました。武家の娘が裸身を見せるのは主人だけと決まっております。リョウくんには責任をとっていただきたく。」

「アズサさんもどさくさに、なに言ってるのかな?」

「お婆様、リョウさまは私の祖父とリョウさまの祖父アキラさまの合意の元、私と契りを交わしました。今さら婚約者というのはいささか不義理ではないでしょうか?」

「カエデさん!」

「・・・リョウ、ここに座りなさい。」

「座ってるよ・・・」

「正座!」

「はい!」

「あなたは何をしているのですか!あれほど女性を泣かしてはいけないと教えてきたのに。おばあちゃんは悲しいですよ。」

「ばあちゃん、泣かさないようにした結果がこれなんだけど・・・」

「何か言いましたか?」

「いえ、何も。誠に私の不徳の致すところです。」

「サエさん、リョウを貴女の婚約者にと思っていましたが・・・すみません、貴女にふさわしくない子に育ったようです。」

「いえ、リョウさまは悪くありません。リョウさま程の男性を一人にしていた私が間違っていたのです。これからは私の屋敷で健やかに過ごしていただきます。」

「それがいいわね、いい加減、棒を振り回すのは止めさせて、今後は文化人として過ごしてもらいましょう、いいですね、リョウ。」

「待って、俺に文化人は無理だよ。それに今の生活を変えたくないし、」

「私に意見するのですか?」

「おばあちゃん、一方的すぎるよ。それにリョウくんは私の婚約者なのですから今さら誰かに渡しません!」

「ミウちゃん、サエはね両親をなくしていてねぇ。頼れる人は少ないのよ、そんな中唯一の心の支えがリョウだって言うのよ。それならリョウに支えてもらって、お家の復興を目指して欲しいの。」

「お婆様、両親が無くなられているのは悲しい事ですが、その事とリョウくんは関係ありませんわ。リョウさまは源家に必要な人物です。お家再興なら私共が支援いたしますから、リョウくんは渡しません。」

「うーん、でもね、金銭だけじゃないと思うのよ、大事なのは心の支えだとね。二人ともリョウが、世話になっているのは知ってるけど譲ってくれないかな?」

「ばあちゃん、そこまでにして。ミウにしてもアズちゃんにしても、俺は結構助けてもらっているから、今さらサエちゃんが出てきてばあちゃんが後見してても、乗り換えたりしないよ。」

「「リョウくん」」

「リョウ、私に逆らうのかね。」

「たとえばあちゃんでも、義理が通ってないなら従えないよ。」

「爺さんや、リョウがえらく反抗的じゃがあんたの教えかい?」

「ちがうぞ、ただワシは婚約者にはミウを押すがな。」

「おじいちゃん♪あとで肩叩いてあげるね。」

「おーミウや、お願いしようかのぅ。」

「爺さんや、何を鼻の下をのばしとる、ミウも若い娘がむやみやたらと男に触るものではないよ。」

「おばあちゃん、男って、おじいちゃんだよ。家族じゃない。」

「私は認めてないからね、あくまで、婚約者はサエだよ。」

「おばあちゃんのがんこもの。」

ミウとばあちゃんがやりあっていた。

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