第129話 またまた空の旅

乗せられたヘリの中で、

「空はやだよ、ねえ考え直そ?」

「何を言ってるの?何かあったらどうするの?」

「もう、大丈夫だよ。」

「ダメです!本当は移動したくはないんですから。」

「早く向かわないとばあちゃんが怖い。」

「なら、我慢してください。」

「リョウさま、何か合っても必ずお助けしますから、大丈夫ですよ。」

「カエデ?」

「たかが空の上じゃあないですか、飛び続ける事は無理でも降りるぐらいは簡単です。百地の忍を信じてください。」

「ホントに?ホントにダイジョウブ?」

「はい。だからリョウさまは安心してお休みください。」

「うん・・・」

リョウは寝付いた。

「カエデさん、今のは?」

「眠りの香です。あまりにリョウさまが可哀想だったのでお休みいただきました。今の内に参りましょう。」

カエデに促され、ヘリは飛ぶが、寝ているリョウの手はカエデの手を握って離さなかった。

「仕方ないですね、リョウさまは♡」

カエデは子供をあやす、母親の表情をしながら、嬉しそうにリョウの頭を撫でていた。

「カエデさん、なんでリョウくんを撫でているんですか?」

「少しでも安心してもらう為ですよ。心と体の繋がりがあるぶん私に気を許してくださるので♡」

「ふ、ふーん、でも付き合いの長さは私の方が上だからね。」

ミウも反対側の手を握る。

「あっ、私の握る所がないじゃない!」

「アズサさん、静かにしないとリョウくん起きちゃうよ。」

「ミウさん、ズルいですよ。」

「早い者勝ちです♪」

「カエデ、そろそろ変わってくれてもいいんじゃないかな?」

「すいません、姫様、リョウさまが離してくれないので。」

カエデの言うとおり、カエデの手を握っているのはリョウのほうだった。

「うーーー」

「なんか、かよわいリョウさまもいいですね♪」

「カエデさんもわかる?普段と違うのがいいよね。」

「私も堪能したいのに・・・」

女三人寝てるリョウを見ながら京都の源家京屋敷に向かった。



ヘリから降りた後、リョウはカエデに起こされた。

「あれ?ヘリは?」

「リョウさまが寝ている間に移動は終わりました。」

「俺、寝てた?」

「はい、ぐっすりとお休みになられていましたよ。」

「記憶にないが・・・まあ、いいや。さあ、ばあちゃんの所に向かおう。」

アズサはすぐに車を用意して、じいちゃんが言ってた土御門の屋敷に向かった

「ここにばあちゃんがいるの?でっかい屋敷だね~」

「リョウくん、おばあちゃんは土御門とどんな繋がりがあるの?」

「まったく知らない。でも、土御門って名字に何か覚えがあるようなぁ~」

「普通はあまり関わらない家ですよ。それよりお婆様に会いに参りましょう。」

アズサは屋敷を出る時に新しい服に着替え、普段よりきっちりとしたかっこうになっていた。

「アズサさん、気合い入ってない?」

「お婆様にお会いするのですよ。それはしっかりとした姿をお見せして、気に入られないと。」

「ズルくない?私もきっちりしたいのに。」

「ミウさんは昔から知ってるからいいでしょ、私はこれが初対面なんですからね。」

「アズちゃん、そこまで警戒しなくてもいいよ。ばあちゃんは基本的には優しい・・・よね?」

リョウは不安になり挙動不審になる。

「聞かれても困ります。でも、向かいましょうか。」

「やっぱり、ボク帰る。ばあちゃんは怖い!」

「こら!リョウ、何をしてるの、早く来なさい。」

其処には、ばあちゃんがいた・・・









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