第108話 警察庁

警察庁長官遠山は行き詰まっていた。

「なんで桐谷くんは回復したら名古屋にいくんだ!絶対安静ではなかったのか!」

「東京だと身の安全がはかれないと思われたのでは?」

「たしかに警察の不備だったがそれでも話し合いに応じてくれても・・・」

「長官!大変です!」

「今度はなんだ!」

「名古屋の田中警部が桐谷氏に出頭を要請したようです。」

「何を考えているんだ!受ける訳がないだろ!」

「屋敷の人に阻まれ逃げたようでございます。ただ、田中警部が訪れる前に源グループ東海支部から交渉の話がきてたようで、内容は宇都宮警視監と松本巡査長の懲戒免職、あと関わった者の罰で話を持って来ていたようですが」

「なんと、それでいいのか!それなら助かるな!」

「いえ、続きが・・・何を考えたのか、田中警部は桐谷氏が圧力に負けて折れてると思い込み、松本巡査長の免職だけで済ませようとしたようで先方の怒りをかい、現在東海では活動が低下している警察の変わりにヤクザ者が源の名の元に治安維持活動を行っているそうです。」

「なんなんだ、その状況は・・・」

「実質、犯罪は低下しているようです。」

「ま、まずいぞ、警察の存在意義に関わる大問題だ!早く桐谷くんに連絡をつけなければ。」

「長官、発想を変えてみませんか?」

「なに?」

「いっそ、桐谷氏を強制連行して始末するのです。彼は重症らしいので連れていく際に悪化したことにすればバレる事はないでしょう。そして、西園寺にしても源にしても彼が生きているから婿としての価値があるのです、死んでしまえば、娘に新しき男を見つけるでしょう。その際、警察から将来有望な者を紹介してもいいですし、どこかの男を紹介するのもいいでしょう。」

「そ、それは、警察としてやってはいけない事では・・・」

「全ての責任は宇都宮警視監に背負ってもらうのです。全てが終わった後、知らん顔で彼に責任を取らして辞任させてしまえばいいんです。」

「私にはそんなことは出来ない、」

「なら何もしなければいいんです。きっと宇都宮警視監がやってくれますよ。」

「しかし、それでも・・・」

「まあ、もう事は動いているんですけどね」

「何を知ってる!」

「知らない方がいいですよ。」

「いいから言え!」

「既に宇都宮警視監の命令で機動隊が突入している頃です。」

「なに?」

「名古屋は宇都宮警視監の派閥が強いエリアですから、彼も生き残る為には桐谷さんが、邪魔なんでしょう。」

「急いで止めろ!」

「無理ですよ、もう、彼のシナリオに乗って行動すべきかと。」

「そんなこと出来るか!急いで名古屋に行くぞ!」

遠山は急ぎ名古屋に向かった。

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