第107話 警察がいなくても・・・

源グループ名古屋支部では会議が行われていた。

「また警察が懲りずに若を拐おうとしたぞ。」

「なんと!」

「屋敷の者が追い返したらしいが・・・」

「警護の者をつけよう、警備保障の実行部隊を配備するか?」

「いや、それじゃ足りない、藤林の傭兵団に常駐させよう。」

「ああ、あの海外で傭兵やってる連中か。」

「アイツなら自衛隊が来ても制圧出来るだろ。」

「よし、すぐ配備しよう、他に何かあるか?」

「警察ともめてるせいか、街の治安が悪化してるとの報告がきてます。」

「うむ、若が気にやむといけないな、我等で自警団を結成して事に当たらそう。」

「誰を当てますか?」

「前田の所にやらす。」

「あそこはヤクザですが?」

「かまわん、悪事には悪事だ。きっちり報酬を渡すからやってくれるな?」

「バカを言うな、報酬なんていらねぇよ。俺達のシマだ、荒らす小悪党なんざ片付けてやるさ。」

「各町の商店に連絡を、源の名において治安維持に入る。何かあれば連絡を回すように伝えてくれ。」

「警察への販売停止はどうしますか?」

「継続だ、交渉中にも関わらず、若を拐おうなんざ話にもならねぇ、さしずめ人質にでもしようとしたんだろ、きたねぇ奴等だ。」

「いいか、我等東海支部は毅然とした態度で統治を行い、警察なんか不要だと全国に示すぞ。我等の恥ずかしい行いは若の顔を潰す事になる、くれぐれも気をつけて行うように!」

「はっ!」


その頃、長野支部では

「若が東京から名古屋に入ったよしにございます。」

「なんと!東京から落ち延びられたか。」

「いえ、どうやら若に拷問した相手の親兄弟が東海支部にいたようで、彼等を助ける為に御体に無理をなされ名古屋に駆け付けたようにございます。」

「なに!極悪人の家族をお救いになられたのか!」

「はっ!源グループの仲間は血の繋がりより濃いものがある、例え血筋に敵対者がいても仲間に変わりはないと。彼等が路頭に迷う所をお救いになられました。」

「素晴らしい御方だ、さすが我等が忠節を誓った御方だ。」

「ただ、無理をなされたのが祟ったのか暫し名古屋屋敷にて療養をとられるそうです。」

「御体に大事はないのか?」

「はっ!ただ大事をとっておられるとの事で姫も御側に控え休養をとられるそうです。ただ、名古屋屋敷に入った後、官憲の手先が再度若を拐おうとしたよしにございます。」

「なんだと!官憲どもめ!そこまで若の御命を狙うとは、若は大丈夫なのであろうな?」

「屋敷の者が追い返し、今は藤林が警護に当たっているそうです。」

「それなら一安心だな。」

「あと、東海支部では治安維持の仕事を前田殿が行うようにございます。これは若の統治を民に知らしめる為だとか。」

「なんと、さすが東海だな、よし、我等も治安維持を行う、出浦、お主が主導して治安を守れ。」

「御意!」

・・・その日から街では強面の自警団が街を見回り始める。

そんな中、軽犯罪でも自警団に殺されると噂が流れ、犯罪が著しく低下した。

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