第85話 宴会 長野県
風呂から出て、アズちゃんと顔を合わせる。
「アズちゃん、あーいったことはお互いの合意があってするものだよ。あんまりはしたないことをしちゃダメ。」
「はーい、でも、男の人はすぐしたくなるって聞いたけどリョウくんは大丈夫なの?私ならいつでもいいからね♡」
「だぁーそういうことを言うんじゃありません。アズちゃんは魅力的なんだから、間違いが起こったらどうするの!」
「間違いじゃないからいいんじゃないかな?」
「はぁ、お願いします。誘惑しないでください。ボクのライフがなくなってしまいます。」
「もう、泣きそうな顔しないでよ。わかりました。たまにしか、しません。」
「たまにもやめてよ。」
「それはダ~メ。」
「うー」
「姫、若、皆が揃いました。大広間にお越しください。」
俺とアズちゃんは真田さんに呼ばれたので大広間に向かった。
「ささ、上座に」
俺とアズちゃんは案内されるまま上座に。
「ねぇ、アズちゃんこの席は違うんじゃない?」
「そうかな?」
「上座はいいとして、何で一段上がってるの?」
「上座ってそんなものだよ。」
「俺は殿様じゃないよ。」
「まあまあ、御膳もあるし、ここに座ろうよ。」
俺はアズちゃんにうながされるまま席につく。
俺達から見て一番手前にいる人が挨拶を始める。
「姫様、若様、この度はよくぞ信濃にお越し下された。ささやかながら歓迎の宴を催す事ができ、光栄にございます。どうか今宵は信濃の夜をお楽しみ下さい。」
するとアズちゃんが答えてくれる。
「諏訪、そなたの心遣い嬉しく思います。そして、皆の長年の忠勤、源家を代表して感謝します。今宵は主人共々世話になります。」
「はは、ありがたき幸せ。次期御当主夫妻を迎える事ができ感激にございます。」
「アズちゃん、なんか違わない?」
「いいから、リョウくんも一声かけてあげて。」
「うーん、何て言えばいいかわからないけど、今日は1日真田さんに世話になりました。まずここで感謝を示したいです。そして、ここにいる皆様は先祖代々、源の家を支えている柱です。そのような方々にお会い出来た事は光栄です、これからも信濃の人達と源の家が栄えるように未熟者ながら協力していきたいと思います。」
そして、俺は立ち上がり酒を持つ。
アズちゃんもわかっていたのか俺に従い、二人で1人ずつ酌をしてまわる、その際に名前を聞き、当人と目を合わせ一言二言交わしながら全員をまわった。
「全員回ったから少し時間がかかったけど、これで乾杯したいと思う。えーと乾杯の合図は諏訪さんに任せていいかな?」
「はっ!不束者ですが、御下命に従い乾杯を仕切らせていただく。
我等、信濃衆はこれより姫様ご夫妻を主君とあおぐ、姫様ご夫妻に忠誠を誓うものは盃を飲み干されよ!乾杯!」
「「乾杯!!!」」
その場にいた全員が一口で盃を飲み干す。
俺も圧倒されながら空気を読んで盃を飲み干したが・・・
「ねえ、アズちゃんや、何か乾杯の挨拶が重くね?」
「ふふ、リョウくんはさすがですね。これで信濃もリョウくんの味方になってくれますよ。」
「いやいや、しかも、何かね、既に夫婦扱いなのは何故?」
「うーん、なんででしょ?私はそれでもいいんですが。」
「アズちゃんに好きな人が出来た時に困るよ?早めに訂正しておかないと。」
「そんな人はいませんから大丈夫ですよ。」
部屋の隅では、
「姫様はよい婿を見つけられたものじゃ。」
「我等、信濃衆は中央から忘れられがちだったが若ならきっと我等をお見捨てにはなるまい。」
「我等が姫様からお声をかけていただけるなど先代が聞いたら悔しがるだろうな。」
「家に帰ったら、親父が怖いな。」
「違いない。」
皆が笑う。
「しかし、若の支持者として東海の連中が意気を上げてるようだが、これよりは我等も負けてはおられぬな。」
「うむ、各部署に連絡し、生産の向上を行うぞ。若に恥じぬ働きを見せよう!」
「信濃衆の力を天下に示すのだ!」
この日より、長野県の源グループの売り上げは向上していく・・・
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