第69話 試合

「こんにちは、リーダさん久し振りです。」

「あっ、ミウさんと桐谷さんじゃないですか?久し振りですね。それより大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫じゃないかな?浦和のみんなは騒いだりしないと信じて来ましたし。」

「嬉しいですね。まあ、試合を見に来た仲間を問い詰めたりはしないと思いましょう。」

「しかし、アウェイは少し人が減りますね。」

「どうしても、埼玉から遠いしね。まあ、それでも、チームの調子がよければ集まるんだけど、どうしても今年はねぇ~」

リーダさんはタメ息混じりに言う。

「そうですよね、勝って欲しいものです。」

俺もタメ息がでる。

「まあ、今日は楽しんでいってください。俺達の力でチームを勝たせましょう!」

リーダさんに挨拶もすみ、そして、ご好意で中心部に席をいただいた。


「いいか!俺達は金と時間をかけて此処にきた!今、チームの調子が悪くいろいろ言われる事もあるが・・・此処に来てない奴等に何か言う権利はない!今日は俺達の力でチームを勝たせるぞ!いいな!」

「おーーー!」

リーダの激のあと、試合が始まった。

試合は0対1で負けてる中、ハーフタイムに入る。

「リョウくん、負けちゃってるね。」

「まだまだ、これからだよ。」

「そうだね、後半も応援がんばろ♪」

俺達が話してる中、スタジアムではハーフタイムショーにヒトミがスタジアムのトラックを歩いてマイク片手に回っていた。


「皆さん、勝ってますね~この調子で後半もいきましょ~」

そして、浦和サポーターの前に来る。

さすがに負けてるアウェイサポーターの前はスタッフが早めに通過させようとする。

前列辺りにはヒトミのファンなのかカメラ片手に声をかけている人も多少いたが、ヒトミは手を振っていた所でふと気付き、マイクで喋りだす。


「リョウ!何で其処にいるの!」

俺は手を振る、ミウは俺に腕を絡めてくる。

「誰?その女は!・・・ってミウさんか。」

ヒトミの発言にスタジアムはザワメク。

俺は拡声器をリーダに借りた。

「ヒトミ、皆さんに迷惑だからさっさとイベント終わらせろ!俺は浦和を見に来たんだ!」

浦和サポーターから歓声と拍手が起こる。

「リョウ!ちょっとこっちに来なさい。」


俺の拡声器をとり、ミウが言う。

「リョウくんはそっちに行きません。私とデート中なんだから邪魔しないでください。」

「という事だ、とにかく今は下がれよ、試合の邪魔になる。」

俺のダメ押しでヒトミは下がる。

片付いたと思ったらオーロラビジョンで俺とミウが映されていた。

「あちゃ~やらかしたかな?」

「堂々としたらいいんだよ、リョウくん♪」

ミウはかぶってた帽子をとり手を振った。

スタジアムに歓声が沸き起こったところで選手が出てきた。

俺も拡声器をリーダに返す。

「すいません。邪魔してしまってますね。」

「いや、構わないよ。さあ、いこうか!いいか、俺達は歌姫の力があるんだ、負けるんじゃないぞ!我等の誇り、共にいこおぜー!・・・」

歌が始まる俺とミウも一緒に歌ってた。

残念ながら試合はそのまま0対1のまま負けてしまったが・・・

試合が終わった後、

「ミウさん、また応援来てくださいね!」

「待ってますよ!」

「次こそ勝ちましょう。」

声をかけられながら、ミウはサインをしたり握手をしたりしていた。

するとリーダが、

「桐谷さん、広島の奴等がミウさんが出てくるのを待ち構えているみたいなのですが、今日は何で来られました?」

「タクシーで来たよ。」

「よかったら私達のバスに乗っていきませんか?駅まで送りますよ。なんなら浦和まで一緒でもいいですが。」

「心づかい感謝します。ミウどうする?」

「リーダさん、駅までお願いできますか?」

「いいですよ。ちょっと待ってくださいね。」

リーダは拡声器で仲間に呼び掛ける。

「ここはアウェイだ、広島の奴に囲まれると面倒だから俺達のバスまでミウさんを連れて脱出するぞ。いいか、芸能人とはいえ、俺らの仲間だ!広島の奴等を中にいれるなよ!」

俺達はサポーターに囲まれスタジアムからの脱出をはかる。


「ミウさま!こっち向いて!」

「おら、浦和サポじゃまだ!どけよ!」

「ミウさまー!」

「あー見えない。どいてよ!」

広島のファンは突破できないでいた。

そんな中、浦和のユニホームを着た人はとおされ、サインを書いたり握手したりしていた。

「あー!!ミウ様がサインしてる!」

「ウソ!うわっ、いいなぁ~」

「浦和サポさんどいてよ!私も通して!」

どれだけ叫んでも、広島のファンは通されなかった。

そして、無事バスに辿りつけた。





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