第66話 出張 イン 名古屋

再び名古屋に降り立った。

「安倍さん~」

「ここまで、来たんだ。諦めろ。昼飯も奢ってやるから。」

俺は安倍さんに、飯を奢ってもらい、源グループに向かった。


俺と安倍さんは会議室に通され、交渉を開始する。まあ、基本的に安倍さんがしてるのだが。

「松平さん、なんとかなりませんか?」

「いやいや、この納期で進めるには少々厳しいですね、せめて、上乗せしてもらわないと。」

「こちらもこれが限界なんですよ。今後の付き合いも考えてどうか頼めませんか?」

「赤字を出してまでの付き合いはねぇ~」

交渉は難航していた。

そこに他の人が入ってきた。


「若!ようこそお越しくださいました。」

この前屋形船にいた斯波さんが現れた。

「お久しぶりです、斯波さん。お元気でしたか。」

斯波さんは膝をつき。

「はっ!つつがなく暮らしております。」


「斯波部長、どうしたのですか?」

「松平くん、頭が高いぞ。若の御前である。」

松平さんも膝をつく。

「し、失礼いたしました。若、申し訳ございません!」

「斯波さん、松平さん取りあえず椅子に座ってください。それじゃ話も出来ませんし。」

「はっ!」

二人は席についてくれた。

「えー、今日はアズちゃん・・・じゃなかったアズサさんも来ておりませんし普通にしてください。」

「何を言われます、他の源グループはともかく、東海支部は姫と若に忠誠を誓っております。」

「いや、普通にね・・・」

「桐谷、すこしいいか?」

「なんですか安倍さん?今取込み中です。」

「いや、今なら交渉上手く行くんじゃね?」

「いやいや、この状況で頼めないでしょ。」

「若、なにやら我々に頼みがあるのですか?」

「そうなんですよ、桐谷の頼みでこの仕事受けてもらえませんか?」

斯波さんは確認する。

「松平くん、出来るか?」

「一命にかえまして!」

「命にかえないでー!いいですか、無理な残業はしないで出来るならお願いしたいのですが。」

「かしこまりました。その変わりと言ってはなんですが、この仕事に関わる全員に先日の殺陣を見せてよろしいですか?」

俺は顔をひきつらせながら。

「なんで、映像の事を?」

「三浦が申しておりました。」

斯波は責任をさらっと三浦に押し付けた。

「三浦さーん!・・・わかりました。たいした物じゃないですが、それでいいなら構いません。ただし、残業無しで納期に間に合った時だけですよ。」

「なるほど!我等の力を見てみたいと。わかりました。松平くん、三河衆を総動員させろ、アイツらなら間に合わせるだろ。」

「はっ!直ちに。」

松平さんは走って部屋を出ていった。

「後は納期を楽しみにお待ちください。」

「は、はい。」

「ところで今日の仕事は終わりですかな?」

俺は安倍さんを見るが頷くだけで答えてくれない。

「終わりですね、この後宿に泊まって明日帰る予定です。」

「それなら、今晩は我等に接待させていただきたい。」

「せっかくですが・・・」

俺は断ろうとするが安倍さんに肘打ちされ、

「桐谷断るなよ、ついでに俺も連れていってくれ。かなり上の接待だろ、俺も興味があるんだよ。」

「ごほっ、わ、わかりました。斯波さんがよければ、先輩と一緒に参加してよろしいですか?」

「おお、先輩でしたか。若がお世話になっております。遠慮なく参加なさってください。すぐに手配をしますので此処ではなんですから応接室にてお待ちください。」

俺と安倍さんは応接室に案内され、準備が出来るのを待った。


その頃、三河衆。

「松平さん、いきなり集合ってなんすか?」

本多が不機嫌そうに聞いてくる。

集まった奴等も不満そうだった。

「お前らに仕事だ!これを見ろ。」

みんなが図面、納期を確認する。

榊原が最初に答える。

「あームリムリ。こんな納期、間に合わねぇよ。」

「それでも、やれ!」

「松平さん、あんたも無理なのわかるだろ?」

「これは若からの依頼だ!」

「「!!!」」

「無理なのは百も承知、しかも、残業無しで終わらせろと難題つきだ・・・これを断るのは簡単だがそれじゃ面白くないだろ?どうだ、やってみないか?俺はお前達なら出来ると思っている。そして、若に我等の力を見せつけてやろうじゃないか!そして、東海地区に三河衆有りと若に認めさすぞ!」

「おお!やってやら!」

「納期前に終わらせてやる!」

「あと、成功報酬になるが、今回の参加者全員に噂の映像を見る許可を得た。他の奴等が観れないものを我等は観ることが出来るどうだ名誉であろう。」

「おい、休んでる奴等も呼べ、放置したら恨まれるぞ。」

「新婚旅行中の酒井もか?」

「もちろんだ!まあ、帰って来るかは奴次第だな。」

「忠誠か嫁、奴はどっちをとるかな?」

「まあ、それはどっちでもいいか?さっさと機械をあけろ!材料発注忘れるな!」

三河衆は動き出した。

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