雨男と雨女
森林
空は見上げない
わかっていることはいちいち確認したりはしない。
例えば学校の行事だって日にちは決まっている。それをわざわざ友達に聞くようなことはしない。忘れてしまったとしても誰かに聞くこともない。
忘れていたってその日はやってくるし、その日を回避することもできない。
なるようにしかならないし、できないことはできない。
天気を予測することはできるが確定することはできない。
天気予報士は本当に気楽な仕事だと思う。だって外れたっていいのだ。責任はいらない。曖昧なコメントばかりで断言なぞしないのだ。
しかしこれは僕の勝手な考えであって、正解ではない。
予報士だって資格を取るのは相当難しいらしいし、僕なんかが思いもつかないような大変なことだってあるのだろう。
僕はある日を境に予報士に対して嫌悪感を抱くようになった。そして天気予報は観なくなった。
でも関係ないのだ。
だって僕の頭上には薄黒い雲がいて雨を降らす。
大の雨男。
大事な時はいつだって雨が降る。いつからかそうなっていた。
だから僕は空を見上げない。
見上げたって顔に冷たい雨粒が撫でるように付き纏うだけ。
青空が居ないことは分かっているから。
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