女性教師がマンティコア化したら学校中がモンスターだらけに

鷹角彰来(たかずみ・しょうき)

第1話 いきなりマンティコア化

 大学卒業して、憧れの学校教師になれたけど……。



 授業を妨害ぼうがいする悪ガキ、高圧的な先輩教師、クレーム入れる保護者……。



 もう嫌んなってきた。花屋に転職しようかしらん。



 今夜も鏡の中のやつれた自分に向かってため息一つ。



 あれ? 何か顔が丸くなったような。



 きゃあああ! 顔中に毛が生えて、鼻がでっかくなって、ヒゲが出てきた。何なのよ、これー?



 服がビリビリやぶけて、ボディビルダーみたいにマッチョに……。腹筋が8つに分かれてきた。めっちゃ強そう。



 背中から黒いコウモリみたいな翼が、尻の付け根からはザリガニのような感じの尾が出てくる。



 自分の顔は大きな野獣、ライオンの顔になっている。髪はオスのタテガミに変わっているし、鼻水出てるし、牙とよだれで気持ち悪い……。



 脇を嗅いでみたら、クッサー!! 卵が腐ったような臭いがする。臭いのに何で何度も嗅ぐの? もうやだー!



 あー、急にムラムラしてきた。こんな狭いアパートを飛び出して、広い世界に出たい。あと何か破壊したい!



 犯罪者になったらダメよ、亜子。徳川歴代将軍の名前を言ってから、落ち着こう。家康いえやす秀忠ひでただ家光いえみつ家綱いえつな綱吉つなよし家宣いえのぶ家継いえつぐ吉宗よしむね、よしよし落ち着いてきた。



 とりあえず、ドアから出て、屋根の上に乗って、一吠ひとほえしたら落ち着くはず、だよね?



(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る