第25話
冒険者ギルドに向かうと、前回来た時の様な騒がしさは無く違和感を覚えた。
「何時もより静かねぇ。」
「何があったんでしょうか?」
周りを見渡すと、皆の視線が1つに集まっていた。
「ねぇ、あそこに居るのメレアじゃない?」
「あら、あなた達知り合いなの?」
「森を出る時に知り合いまして。 ちょっと声を掛けても良いですか?」
「そうねぇ、この様子も気になるし。」
周りを見渡したライラに頷き、メレアの元へ向かう3人。近くまで行くと、ライラが声をかける。
「メレアちゃん、こんにちは♪」
「げっ、ライラさん…」
「あら、人の顔を見るなり失礼ねぇ。」
「はぁ、ごめんなさいね。 けど、今はそっとしておいて。」
「何かあったの?」
リリアが問いかけると、初めてリリアと蓮也の存在に気づく。
「リリアと、どちらさん?」
「蓮也ですよ。 それより、なんでこんなに静かになってるんですか?」
「蓮也だったのね、髪型が変わってるから気付かなかったわ。静かなのは私のせいね。」
すると、1人の大柄な体に大きな剣を背負っている男がこちらに近づいてきた。
「ようメレア! ゴブリン相手に撤退したんだってな! Sランクパーティにもなって恥ずかしくねぇのか?」
ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべた男は続ける。
「ゴブリン程度に遅れをとるなんざ、引退した方良いんじゃねぇか? もう時期俺らのパーティもSランクになるしよ、後のことは考えなくてもいいぜ!」
そう言って笑いながらメレアを小馬鹿にする男に、メレアは唇を噛んで何も言い返さない。暫くの間、男が1人で盛り上がって居るとリリアが口を開いた。
「黙りなさい。」
その一言で、ギルドの中はまた一段と静かになった。
「さっきから、聞いてて不愉快よ。失せなさい。」
「リリアの言う通りだな。」
「何だテメェら、新入りか? このカイン様に楯突くってのか!」
「貴方が何者かなんてどうでもいいわ。 それより、怪我をしたくなかったら速く失せなさい。」
「んだどぉ!? 上等じゃねぇか!」
カインが背中の剣を抜き、リリアへと切りかかる。
「【聖域】」
聖域の障壁に剣ごと体が弾かれ、蓮也は後ろに転けるカインを見下す。
「この程度で体勢を崩すなんて、引退した方良いんじゃないですか? 」
イイ笑顔でカインを見つめる蓮也。カインが剣を握り直し、顔を真っ赤にして切りかかると、リリアが剣を殴った。
「な、な、なぁにぃいい!?!?」
「あら、随分脆い剣を使ってるのね。」
リリアが殴った剣の刀身は、粉々に砕け散っていた。すると周りからヒソヒソと声が聞こえてきた。
「おいおい、カインのやつあっさりやられてんじゃねぇか。」
「あの嬢ちゃん強えな。うちのパーティに勧誘しよっか。」
「しっかし、啖呵切ってあっさりやられるとはな。」
カインは顔を真っ赤にして、立ち上がり。
「お、覚えてやがれぇ!」
何ともまぁ、在り来りなセリフを吐いて去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます