第3話
森の奥に、白銀の毛並みを持つ大きな狼と見つめ合う男がいた。
(言葉が理解出来るのはスキルのお陰か、しかし動物とも会話ができるとは…)
「言葉が通じるなら、話をしないか?出来ればお前とは戦いたくない。」
『私の言葉が分かる人間なんて初めてよ! ええ、構わないわ。』
「よし、ならまずは自己紹介から。俺の名前は鈴原 蓮也だ。気軽に蓮也って呼んでくれ!」
『私はリリアよ。』
お互いに自己紹介を済ませ、蓮也が問いかける。
「所で、リリアは兎を追ってたけど、狩りをしてたのか?」
『そうよ、私の縄張りに入ってきたし、丁度小腹も空いてたから。」
「あー、すまん、俺のせいで逃がしちまったな…」
『良いわよ、そんな事。それよりも、蓮也の話を聞かせてくれないかしら?今まで人間と話する事なんて無かったから、興味があるわ!』
リリアは尻尾を揺らしながら聞いてくる。
「俺の話って言っても、さっき来たばっかだからな。」
『さっき来たってどうゆう事?』
「実は俺、この世界の人間じゃないんだわ。」
『…もしかして、とは思ったけど渡り人だったのね』
「渡り人ってなんだ?」
『時期は一定では無いんだけど、偶に別の世界から来る人間がいるのよ、それを人間たちは渡り人って言っているわ。』
「そっか、それなら俺も渡り人ってやつになるのかな。」
『別の世界か、蓮也のいた世界ってどんな所だったの?』
「そうだなぁ、科学ってのが発達していてーーーー」
それから数時間、木々の隙間から赤い日差しが差し込むまで話し込んでいた。科学が発展している事、車や飛行機などの乗り物がある事、リリアは興味深そうに聞いていた。
「おっと、話し込んでたらもう夕方じゃないか、寝る所を探さないと。」
『あら、それなら私の所にくる?近くに魔物も居ないし安全よ?』
「良いのか?それならお願いしようかな。」
『ここからだと時間が掛かるから、私に乗りなさい。誰かを乗せるのは初めてだから多少の揺れは許して欲しいけど。』
「…」
『どうしたの?早く乗りなさいよ。』
「リリア、乗る前に一つ、頼みがあるんだ。」
『頼み? 何かしら?』
蓮也は真剣な眼差しで、リリアを見つめながら、ゆっくりと唇を開く。
「モフらせてくれ!!!!!」
『ふぇ?』
そう、蓮也は、モフモフが大好きなのである。
「もふもふやぁ…これはクセになる…ふぅ…」
『あ、あの、蓮也?そろそろ行かないとほんと日が落ちるわよ?』
「すぅー、はぁ、よし!満足した!」
『ふぁぁ…』
「あっ、ごめん! 久しぶりだったからつい調子乗ってしまっ「グルァアア!!!!」なんだ!?」
思い足音を響かせながら現れたのは、赤い皮膚に覆われた゛鬼゛だった。
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