ヒルマの日記

如月琳

第1話

私は神崎昼真、中学2年生です。

昔から、親戚やら友達やらに男の子みたいな名前だと言われてきたせいで、父は私に特別女の子らしい格好をさせました。フリフリのワンピース、大きなリボンのついたスカート、シースルーのレース。10歳の誕生日まで、ズボンなんて履いたことがありませんでした。

父は、「ヒルマって名前はママがつけたんだ。オレはもっと女の子らしい名前にしたかった」と怒り気味でよく溢します。

私はどちらかと言うとジェンダーについてはこだわりがなかったので、女の子らしい服装をすることを特に嫌がったりはしませんでした。むしろ自分は女の子なのだから女の子らしい服装をする、それが普通だと思っていました。


ですが、小さい頃から性別について深く考えてきたせいか中学に入った頃から中性でいたいと思うようになりました。

母にそれを話すと、とても笑顔で肯定してくれました。ヒルマという男の子に間違われるような名前をつけた母は、私に申し訳ないと思っているのでしょうか。だからか、私が男の子のするゲームや遊びをしても怒らないし、たまには一緒に遊んでくれたりします。


ですが、手強いのは父です。父は私が男の子らしくするのを嫌がりました。

これは、先週の木曜のことです。

「私、もっと中性的になりたいわ」

「は?どうして?」

「好きな服を着たり、好きな髪型をしたいのよ」

「駄目に決まってるだろ!ヒルマは女の子なんだから」

「でも私、絶対ショートカットの方が似合うわ!」

「なんで突然そんなこと言うんだ!!ママになにか言われたか!?」

「何も言われてないわ!私がそうしたいのよ!」

「だめだ。まだだめだ。もうすこし大きくなったらだよ」


母は、ずっとこんな調子な父に怒り、これでは私(ヒルマ)が自由に生活できないと、私を連れて母の実家へ帰りました。


母の実家では、祖母と祖父と4人で過ごしています。母は私を美容院へ連れて行き、私を私の好きなショートカットにしてくれました。そしてそのあと、服屋さんへ行き私の好きなスウェットやパーカ、ジーンズなどを沢山買ってくれました。

私はすごく楽しかった。どうして父なんかに従っていたんだろうと思うくらいでした。

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ヒルマの日記 如月琳 @kisaragi_e

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