せっかく、異世界転生したのに、職業が死体引きって……。

あおき りゅうま

プロローグ 異世界転生ってこんなもんじゃないだろう……

 この物語の主人公は異世界転生を成し遂げている。


「ハァ……ハァ……!」


 短髪の黒髪、切れ長の目にそこそこの筋肉のついた体格の青年。

 何もない荒野を、肩で息をしながらひたすらに歩いているこの男こそ、この物語の主人公である。

 なぜ彼が疲れた様子で荒野を歩いているのか。その原因は彼の引く荷物にある。


「くそ、どうして、この俺……が……死体を引きずり歩かなければ……ならないんだ……!」


 彼はロープを肩にかけ、その先には血にまみれたボロボロの男の死体が繋がれていた。死体の体格は青年よりはるかに大きく、鉄の鎧で包まれ、腰には重そうな両手剣が刺さり、見るからに重そうだ。現に荒野をずりずりと男の死体が土を抉り後を付けて行く。


「ハァ……ハァ……こんなはずじゃ、こんなはずじゃなかったのに……村は、村はまだかァァァァァァァァァァァァァ‼」


 異世界・シュエラースの大地の上、元二十四歳プログラマー、鯖井晴さばいはるの叫びが高らかに響き渡った。

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